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電気化学工業 でんきかがくこうぎょうelectrochemical industry

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電気化学工業
でんきかがくこうぎょう
electrochemical industry

電気化学の技術を工業的に利用した化学工業。 1836年ダニエル電池が発明され,これを用いた金,銀,銅などのメッキ工業をもって始るとされる。 1870年代の直流発電機の発明で電気精錬が工業化され,93年の水銀法発明で電気アルカリ工業と続くが,90年代の水力電気事業の確立によって,ナトリウムマグネシウムアルミニウム溶融電解工業,リン,カーボランダム石灰窒素電熱化学工業電気製鋼,放電化学工業と発展し,第1次世界大戦にかけて,今日の基礎がつくられた。日本では,およそ 10年遅れて欧米技術を導入し,77年電気メッキに始り,蓄電池 (1894) ,銅の電解精錬 (98) ,電解ソーダ (1915) などが工業化され,水,火力発電の開発により,世界一流の電気化学工業国となった。現在,放射線原子力の利用,電子ビーム,プラズマジェット,超高温度発生技術などを用いた超硬度超耐火性化合物の生産,電子材料や半導体を用いた高純度金属の製造など,新技術の開発が進んでいる。

電気化学工業
でんきかがくこうぎょう

化学工業会社。三井系。 1915年設立。 41年日本醋酸製造,55年電化セメント,73年群馬化学,74年デンカ石油化学工業,75年横川電力を合併。当初石灰窒素,硫安を主体としてきたが,その後業務内容を拡大,電炉製作,鉱業,肥料,有機合成化学の各般にわたった。第2次世界大戦後ただちに肥料生産を拡大,同時に有機合成部門の拡充強化に乗出す。クロロプレンゴムの生産は日本で最初に企業化。技術水準は世界的に注目されている。ニューセラミックス,電子材料にも注力。売上構成比は,石化事業 52%,化学品事業 27%,セメント建材事業 21%。年間売上高 2215億 4600万円 (連結。うち輸出 12%) ,資本金 353億 200万円,従業員数 3138名 (1999) 。

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百科事典マイペディアの解説

電気化学工業【でんきかがくこうぎょう】

原料の化学的処理に電力を要する化学工業。水電解によるアンモニア食塩電解による苛性ソーダ水酸化ナトリウム)生産といった電解工業,電炉によるカーバイドの製造などの電熱化学工業,電池を製造する電池製造に分類される。
→関連項目化学工業

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日本の企業がわかる事典2014-2015の解説

電気化学工業

正式社名「電気化学工業株式会社」。通称「デンカ」。英文社名「DENKI KAGAKU KOGYO KABUSHIKI KAISHA」。化学工業。大正4年(1915)設立。本社は東京都中央区日本橋室町。総合化学品会社。石灰石からカーバイドを生成し、合成ゴムの原料となるアセチレンガスや肥料の石灰窒素などを製造。ほかに有機系素材・電子材料など。東京証券取引所第1部上場。証券コード4061。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんきかがくこうぎょう【電気化学工業 electrochemical industry】

狭義には生産のおもな手段として電力を用いる化学工業で,電解工業と電熱化学工業があるが,広義には化学エネルギー電気エネルギーに変換する装置すなわち電池を製造する電池工業もこれに含め,表のように分類される。
[電解工業]
 電気分解を利用して,より自由エネルギーの高い物質を得る工業。電気分解は電解質に陽極,陰極と呼ぶ二つの電極を挿入して,陽極を正,陰極を負として直流電圧を印加して行う。陽極においては酸化反応,陰極では還元反応が起こる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電気化学工業
でんきかがくこうぎょう

電気化学反応を利用した電解工業と電気炉を活用する電熱工業、とくに、カーバイド工業を中軸とする工業をさす。ほかに、電池の製造、界面電気化学、放電化学などにかかわる工業が含まれる。具体的には、水溶液電解、溶融電解によるアンモニアカ性ソーダ水酸化ナトリウム)や石灰窒素の生産、電気めっき、合金鉄の製錬、人造黒鉛の製造などが主要事業である。電気化学工業の第一義的な特徴は、大量の電力を消費することから原価構成に占めるエネルギーコストウェイトが高いことであり、これを軽減するため自家水力発電等により工場の稼働が試みられてきた。
 1836年にダニエル電池が発明されて以降、電池の研究が、電気化学の主要領域として台頭している。電池の研究を基盤に電気めっきが実用化され、また、1869年には銅の電気分解を利用した電解製錬法が発明され、銅やアルミニウムの電解精錬が本格化してきた。非鉄金属とされる銅やアルミニウムの電解製錬のみでなく、塩水を電気分解してカ性ソーダ、塩素、水素を製造する電解ソーダ事業が、電気化学工業の中軸的位置を占めることになる。塩素は、直接、ガスのまま消費されるほか、液体塩素、塩酸、次亜塩素酸ソーダ等、塩化物として製品化されている。
 カ性ソーダ、塩素等に関する製法は、まず、ルブラン法からアンモニア法、隔膜法に移行している。さらに日本では、1953年(昭和28)に食塩電解法の生産能力が、アンモニア法を上回っている。カ性ソーダの生産拡大は、調味料用の塩酸、紙・パルプ用のさらし粉、液体塩素、DDT・BHC等農薬向け、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデンの国産化に伴う塩素需要の急増に起因している。そして、隔膜法に比較して不純物が少なく、製品の品質が良く、低コストであったことから水銀法電解設備が増加した。だが、1973年、政府が、健康被害から非水銀法への製法転換を決定したことにより、イオン交換膜法が台頭している。
 他方、電気化学工業のもう一つの主要事業領域が、カーバイド工業である。19世紀末、カーバイドや石灰窒素などの工業化が開拓されている。日本でも、1900年(明治33)にカーバイドの製造が開始された。アセチレンランプに活用されていたカーバイドから、誘導品として肥料である石灰窒素が製造されている。ただ、石灰窒素は、第二次世界大戦後のしばらくは主要製品であったが、硫安工業の合理化に伴い肥料の多様化が進行し、その需要は頭打ちになっている。これに対し、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン、酢酸ビニル向けなどアセチレンからの誘導品が増加することになり、カーバイドから得られるアセチレンの需要の増大を招いた。需要構造の変化に対応した合理化、近代化が求められ、カーバイド工業の設備の近代化が促進されることになる。1952年、日本カーバイド工業株式会社が、副生する一酸化炭素の有効利用につながる密閉式電気炉を世界で初めて完成させた。それまで、カーバイド炉は開放型であった。その後、カーバイド・メーカーが相次いで密閉式電気炉を採用しており、カーバイド炉の大型化や自動化、合理化が進み、作業効率が向上している。電気炉で溶融されたカーバイドは、建材や接着剤用の酢酸、酢酸ビニル、塩化ビニル等アセチレン系有機化学市場の拡大に連動することになる。また、カーバイドを生産する際の余剰石灰石は、セメントの生産に有効活用されてきた。ただ、酢酸や塩ビモノマー等のブタジェン法による石油化学コンビナートでの生産が支配的となり、カーバイド・アセチレン法で生産されたアセチレンを原料として有機化学品、無機化学品を生産する事業は低迷をたどることになる。溶接や切断用のアセチレンガスをカーバイドから生産する事業は存続しているが、溶解アセチレンの生産量は、1970年の80事業所での約6万5000トンをピークに急減している。事業所も、多く共同運営に移行することになった。電気化学工業は、古い伝統をもつ工業ではあるが、エネルギー費用の上昇、相対的な低生産性、石油化学工業による代替製品の開発等により、市場は縮小し、低迷状態に陥っている。
 その後も、溶解アセチレンの生産は減少を続け、2013年(平成25)の時点で、27社、39事業所での生産量は、1万1912トン、生産額は約75億円にとどまっている(日本産業・医療ガス協会調べ)。また、2012年のカ性ソーダの生産を含むソーダ工業の事業所数は20,従業員3070人、出荷額約1724億円(工業統計表)で、21世紀において規模縮小が進行している。[大西勝明]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の電気化学工業の言及

【石炭化学工業】より

…おもな製品としては,石炭ガスからつくられるBTX類(ベンゼン,トルエン,キシレン),コールタールからつくられるピッチ,クレオソート油などがある。なおコークスからカーバイドを経てアセチレンを生産する産業は,電気化学工業の範疇(はんちゆう)に入る。また石炭乾留は,製鉄業,都市ガス製造業の副業として行われている。…

※「電気化学工業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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