改訂新版 世界大百科事典 「ニューブランズウィック」の意味・わかりやすい解説
ニューブランズウィック[州]
New Brunswick
カナダ東部の州。面積7万1450km2,人口75万2000(2005)。州都フレデリクトン。人口の38%をフランス系が占めるのが特徴的である。彼らはアカディア人の子孫でケベック人とは価値観を異にし,ケベック独立運動にも関心を示していない。しかしカナダのフランス系文化を支える重要な一翼を担っており,例えばこの州出身の女流作家アントニーヌ・マイエは《ブラジー・ラ・シャレット》で,1979年のゴンクール賞を受賞した。州は長い海岸線をもち,降雨量が多く樹木がよく繁茂するところから林業,造船業,海運業が伝統的に経済を支えてきたが,現在は製造工業が州第一の産業である。その内容は食品,紙,木製品など一次産品に依存している。工業に次ぐのが建設業,水力発電であるが,林業も州第5位の産出高を有している。ニューブランズウィックはフランス領アカディアの一部であったが,1713年ユトレヒト条約でイギリス領となった。アメリカ独立革命の勃発後,多数の王党派(ローヤリスト)が北上してノバ・スコシアへ到来。1783年にサンベリー郡が分離してニューブランズウィック植民地となった。州名は当時のイギリス国王ジョージ3世の出たブランズウィック家に由来する。州の西境,アメリカ合衆国メーン州との国境はようやく1842年に決定されている。67年のカナダ連邦結成には加入賛成派と反対派が激しく対立し,一時は加入は絶望視されたが実現した。
執筆者:大原 祐子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報