改訂新版 世界大百科事典 の解説
ノースウェスト・テリトリーズ
Northwest Territories
カナダ北部の地方。北西準州と訳される。州都イェローナイフ。カナダ全土の3分の1余りを占め,三つの行政区,マッケンジーMackenzie,キーウェーティンKeewatin,フランクリンFranklinに分かれる。面積337万9683km2,人口6万5800(1995)。準州の3分の2は樹木限界線の北に属し,乾燥気候で人間の生存には厳しい環境であり,近年まで近代社会との接触が乏しかった。人口の約3分の1をイヌイット(エスキモー),5分の1をインディアンが占め,彼らは主として毛皮獣捕獲に従事している。経済の支柱は生産高の85%を占める鉱業で,亜鉛,金,鉛の産出高が多い。最近は沿岸地域における石油,天然ガスの開発で注目を集めているが,先住民の権利に絡む環境汚染問題も発生している。準州の主要部分は1670年ハドソン湾会社の領有するところとなったルパーツ・ランドに含まれ,1869年カナダ政府へ割譲された。1912年に現在の境界が設定された。99年4月,東部(面積220万1400km2,人口約2万2000人,うちイヌイット約1万7500人)を分離して,イヌイットの準州ヌナブトNunavutが設立された。
執筆者:大原 祐子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報