ノース・カロライナ(読み)のーすかろらいな(英語表記)North Carolina

翻訳|North Carolina

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノース・カロライナ」の意味・わかりやすい解説

ノース・カロライナ
のーすかろらいな
North Carolina

アメリカ合衆国東部の州。面積13万6197平方キロメートル、人口804万9313(2000)。独立13州の一つ。北はバージニア州、西はテネシー州、南はジョージア州とサウス・カロライナ州に接し、東は大西洋に面する。州都ローリー。州の東部は海岸平野で、その東端には細長い砂州の列が突き出ており、本土との間には潟湖(せきこ)が発達している。中央部には緩やかな起伏ピードモント台地が広がり、東の海岸平野との境界は滝線となっている。ピードモント台地の西側にはブルー・リッジ山脈とグレート・スモーキー山脈が走る。ミシシッピ川以東で最高峰のミッチェル山(2037メートル)もここにある。気候は温暖湿潤で、州都ローリーの年降水量は1152ミリメートル、1月の平均気温は5℃、7月の平均気温は25.5℃である。経済活動の中心は農業と工業である。農業ではタバコの生産が全米一であり、ブロイラートウモロコシ、大豆、ピーナッツ肉牛乳牛も重要である。州土の5分の3を占める豊富な森林資源によって木材・家具産業も盛ん。家具生産では全米第1位。1920年代まで、重要な作物であった綿花を加工する繊維・織物・衣類産業がピードモント地域に発達したが、最近は電気機器、化学製品、パルプなどの工業も発展している。鉱物資源では雲母(うんも)、リチウムなどを産する。

 1585年、アメリカ最初のイギリス人植民地がロアノーク島に建設されたが失敗に終わり、17世紀中ごろにバージニアからの入植者が東部沿岸に集落を建設した。17世紀の間は沿岸部の開拓が中心であったが、18世紀になるとインディアンをアパラチア山脈以西に追い出しながら、ピードモントの開拓が進んだ。南北戦争後、ピードモント地域の工業化が進み、タバコ栽培も盛んになった。1950年代には工業製品出荷額が農畜産物販売額を上回るようになった。1970年代以降は観光産業が伸びている。原生林と野生動物のグレート・スモーキー山脈国立公園、キャンプ、魚釣り、水泳の施設が豊富な113キロメートルにわたるハッテラス岬国立海岸公園などがある。一方、先端産業の誘致にも力を入れ、ローリー、ダーラム、チャペルヒルの3市を結ぶリサーチ・トライアングル・パークにはIBMをはじめ多数の研究所が立地、世界でも有数の研究所団地となっている。

[菅野峰明]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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