ハワイアンミュージック(その他表記)Hawaiian music

改訂新版 世界大百科事典 「ハワイアンミュージック」の意味・わかりやすい解説

ハワイアン・ミュージック
Hawaiian music

ハワイ諸島の民俗音楽に,欧米の音楽の要素が加わって成立した音楽。単に〈ハワイアン〉ともいう。ハワイ諸島原住のポリネシア系のカナカ族は,無伴奏の歌オリ,打楽器(ひょうたんの〈イプ〉,竹のささら〈プーイリ〉など)と踊りフラ)などをもっていた。19世紀にアメリカ人によりキリスト教賛美歌が持ち込まれて西洋式のメロディハーモニーを吸収し,さらにメキシコ人によりギター,ポルトガル人により小型ギターが紹介されることによって,スラックキーslack key(独自の調弦と演奏法によるハワイの民俗的ギター奏法),スチール・ギターウクレレが考案され,19世紀末には《アロハ・オエAloha Oe》(リリウオカラニ女王が1878年に作った)に代表されるハワイアンの古典様式が完成した。20世紀に入り,ハワイの音楽家たちがアメリカに出稼ぎに行く機会が急増するとともに,ジャズやブルースの要素が大幅に取り入れられ,1930年代にスチール・ギターの電気増幅式のものが導入されてハワイ音楽のポピュラー化が進行した。第2次世界大戦後はモダンなハーモニーやロック・ビートの影響などでハワイ音楽の独自性は極度に薄れたが,1960年代からスラック・キー・ギターが見直されるなど,ハワイ独自の音楽の再評価の動きが高まってきている。
ハワイ[伝統音楽]
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百科事典マイペディア 「ハワイアンミュージック」の意味・わかりやすい解説

ハワイアン・ミュージック

ハワイの現代大衆音楽。単に〈ハワイアン〉とも。スチール・ギターを中心に,ギター,ウクレレ,ベース,各種打楽器からなる小編成バンドで演奏される。演奏者自身が独唱またはコーラスを担当し,ファルセット裏声)で歌うのが特徴。レコードの発達以後1930年代が第1期黄金時代。1945年以後第2期のブーム。1960年以降ポップ歌手ホーの出現により,ポピュラー化の傾向が著しい。現在ではショーの場合にはフラ(踊り)を伴うことが多い。

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