バスケットボール(英語表記)basketball

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デジタル大辞泉 「バスケットボール」の意味・読み・例文・類語

バスケットボール(basketball)

球技の一。1チーム5人ずつの二組が、規定時間内に1個のボールを奪い合い、相手チームのバスケットの中へ投げ入れて得点を競うゲーム。また、この競技に用いるボールのこと。籠球ろうきゅう籃球らんきゅう。バスケット。
[補説]ゴールと得点
スリーポイントラインの外側からのショットによるゴール3点
スリーポイントラインの内側からのショットによるゴール2点
フリースローによるゴール1点

※スリーポイントラインを踏んで放ったショットは、決まっても2点。

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精選版 日本国語大辞典 「バスケットボール」の意味・読み・例文・類語

バスケット‐ボール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] basketball ) 球技の一つ。五人ずつの二組が互いに相手方のバスケットにボールを投げ入れ、規定時間内の得点の多少によって勝敗を決めるもの。また、それに用いるボール。籠球(ろうきゅう)。バスケット。バスケ。〔舶来語便覧(1912)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「バスケットボール」の意味・わかりやすい解説

バスケットボール
basketball

球技の一種。5人一組の2チームが,〈ボールは手で扱う〉〈ボールを保持したまま無制限に歩いたり走ったりできない〉〈身体接触を極力避ける〉ということを原則とした攻防のもとに,コート両端の頭上に設置してある両者のゴールにボールを投げ入れ合うスポーツ。当初,桃を入れる〈かご〉をゴールに用いたことから,この名称となった。そのため日本でも,かつては〈籠球(ろうきゆう)〉(または〈籃球(らんきゅう)〉)と呼ばれた。初めはbasket ballと2語で表していたが,1921年から今日のようになった。

1891年12月,アメリカのマサチューセッツ州スプリングフィールドにある国際YMCAトレーニング・スクールで,体育担当の教師ネイスミスJames Naismith(1861-1939)が,冬季に体育館でプレーする新しいゲームとして,次のような基本的原則を念頭に置いて構想した。(1)ボールを使用する。そのボールは軽くて,両手で持てる程度の大きさとする。(2)ボールを保持したまま位置を変えることを禁止する。(3)ゲーム中は,いつでも両チームのだれもがボールをプレーできる。(4)両チームは,コート内のどこでプレーしてもよい。ただし,〈身体接触〉は禁止する。そして,少年時代に故郷カナダで遊んだ〈岩の上の鴨duck on the rock〉という遊びをヒントに,ついに〈頭上に設置した水平のゴールにショットし合う〉形式のゲームを考案した。全米各地のYMCAは新しい屋内ゲームの誕生を渇望していたので,またたくまにアメリカ国内に伝播し,代表的な屋内ウィンター・スポーツに発展した。しかし,一時は〈sissy game(めめしいゲーム)〉と称されて人気が急落するときがあった。当時もっとも盛んだったのはアメリカン・フットボールで,困難艱苦(かんく)への挑戦とその克服といった勇壮なイメージがアメリカ建国の思想と基本的に合致していたからとされる。ところが,それにひきかえバスケットボールはあくまでも身体接触を排除し,フットボールでは勇猛果敢なプレーもバスケットボールでは粗暴なプレー(反則)として徹底的にルールで規制したので,当時のアメリカの男性たちの目には〈めめしい〉と映ったのであろう。しかし,その後ルールの改廃増補が重ねられ,フットボールに匹敵するポピュラー・スポーツに成長した。一方,女性たちはバスケットボールのことを〈rough game(乱暴で粗野なゲーム)〉と評した。女子スポーツとしては過激で,生理学や心理学の立場からみて,女性には〈有害なスポーツ〉とさえいわれた時期があった。そこで,〈basquette(バスケット)〉と呼ばれる女性向きに作り変えたゲームになり,これが原因でアメリカ女子バスケットボールは,一時期,世界に遅れをとることになる。

 発祥の地である国際YMCAトレーニング・スクールには各国から留学生が来ており,彼らが卒業後母国へバスケットボールを伝播する役割を果たした。また,各国のYMCAに派遣された主事が普及に努めたし,第1次世界大戦で渡欧したアメリカ軍が駐留外国軍やヨーロッパ数ヵ国に伝えたこともあって,国際的普及をみた。1932年に国際バスケットボール連盟Fédération Internationale de Basketball Amateur(FIBA)が結成されたときの加盟国数は10であったが,2006年現在は213ヵ国・地域にのぼっている。オリンピックには1936年の第11回ベルリン大会から男子,76年の第21回モントリオール大会から女子の正式種目となった。世界選手権大会も男子が1950年,女子が53年から行われている。また,アメリカでは1898年からプロバスケットボールが発足した。1949年に今日のプロ組織National Basketball AssociationNBA)が確立,現在では全米を4地区に分けて29チームが所属し,そのうち21チームが収容観客数1万5000人以上,8チームが2万人以上の体育館をホームコートにしている。1シーズンの観客動員数(1996~97年度)は2030万4629人に及び,1ゲームあたり平均1万7077人が観戦している。まさに,野球(MLB),アメリカン・フットボール(NFL)と並ぶ全米三大プロスポーツの一つになっている。

 オリンピックや世界選手権大会へのプロ選手の出場が容認されたことにより各国・地域の協会は名称から〈アマチュアAmateur〉を外し,男女ともプロ化は世界的傾向にある。アメリカではNBAの女子版のWNBA(Women's NBA)とABL(American Basketball League)という二つの女子プロリーグが発足した。

1891年12月21日,史上初のゲームがネイスミスの指導のもとに行われたとき,チームのなかに石川源三郎という日本人留学生がいた。しかし,彼が卒業後日本に紹介した記録はない。1908年,国際YMCAトレーニング・スクールで学んで帰国した大森兵蔵が東京YMCA体育主事となって初めて本格的に伝えた。ところが,彼は13年にアメリカで客死したので,発展の端緒を開くまでには至らなかった。しかし彼の死後まもなく宮田守衛(1911年国際YMCAトレーニング・スクールで学んで帰国)が神戸YMCAで,また佐藤金一(1909年ウィスコンシン大学で学んで帰国)も京都YMCAで紹介普及を手がけ,ようやく人々に知られるようになった。1913年ブラウンFranklin Hartwell Brown(1882-1973)が北米YMCA同盟からの協力主事として来日し,関西の京都,大阪,神戸のYMCAで指導したのが契機となって,本格的に普及し定着した。日本のバスケットボールが初めて国際大会に登場したのは,1917年に東京芝浦で行われた第3回極東選手権大会で,中国,フィリピンと対戦したときである。このときは,佐藤金一をキャプテンとする京都YMCAが代表チームとなり,戦績は振るわなかったものの,これが日本における本格的な発展のきっかけとなった。30年に大日本バスケットボール協会が結成され,36年には,バスケットボールを正式種目とした初のオリンピック・ベルリン大会に参加した。第2次大戦後,45年に全国統轄組織として日本バスケットボール協会が復活し,50年に国際バスケットボール連盟に復帰した。同年,ハワイから日系2世チームが来日,ドリブル技術などを紹介したが,これが刺激剤となって技術的に大きく向上した。男子は56年のオリンピック・メルボルン大会と64年の東京大会の10位が最高であり,女子は75年の世界選手権大会で2位となった。しかし,1965年からミニ・バスケットボール(小学生)が始まり,71年から全国中学校大会も行われ始め,長期的展望に立って競技力向上が図られている。また,クラブチーム大会,家庭婦人大会,車いす大会(身体障害者バスケットボール)などが近年次々と誕生し,多様な発展傾向をみせている。

コート,用具は図1のとおり。コートは障害物のない長方形の平面とし,国内大会の場合,縦24~28m,横13~15m。天井の高さは少なくとも7mが必要。バックボードは厚さ3cmの堅い木材か木材と同じ強さの透明な材料で作る。バスケットは内径45cmのオレンジ色の鉄製リングに長さ40cmの白いひも製のネットをとりつける。ボールはゴム袋を皮革,合成物質あるいはゴムで覆ったもので,一般用(男子)は周囲75~78cm,重さ600~650g(女子および中学校では周囲72~74cm,重さ500~540g)。ゲームは,センターサークルで両チーム1人ずつのプレーヤーの間に主審がボールを投げ上げて(トスアップ,第2クォーター以降と延長の場合も同じ)開始される。競技時間は通常10分のクォーター(ピリオドともいう)を4回行う(中学生は8分)。第1と第2,および第3と第4の各クォーターの間に2分間のインターバル,第2と第3のクォーターの間に10分間のハーフタイムを置く。得点はショット成功2点(ただし,スリー・ポイント・ラインの外側から成功した場合は3点),フリースロー成功1点。第4クォーターまでの合計得点により勝敗を決する。同点のときは必要な回数だけ1回5分(中学生は3分)の延長戦を行う。ショットとフリースローが成功したときは,特別な場合を除き,得点されたチームのエンドラインの外からのスローインによりゲームを再開する。また審判の判定等によって中断したときは,特別な場合を除き,その判定の対象となったプレーが起こった場所にもっとも近いラインの外からのスローインによって再開する。

 規則に対する違反には表のようにバイオレーションファウルがある。ファウル後は図2のような方法によりボールはインプレーにされ,ゲームが再開される。プレーヤーが5回ファウルを犯すと,それ以後そのゲームに加わることはできない。

バスケットボールのコラム・用語解説

【バスケットボールの用語】

制限区域 restricted area
エンドラインとフリースローラインおよびエンドラインの中央から左右3mの点とフリースローラインの両端を結ぶ2本の直線に囲まれた区域。攻撃側プレーヤーがボールの保持に関係なく,ここに3秒以上とどまるとバイオレーション(3秒ルール)が科せられる。
プログレッシング・ウィズ・ザ・ボール progressing with the ball
ボール保持者がドリブルやピボットによる制限範囲を越えて移動するバイオレーション。トラベリングtravellingともいう。
ダブルドリブル double dribble
ひと続きのドリブルの後,両手でボールを持って立ち止まり,その後再びドリブルを始めるなど,ドリブルの規制を犯したときのバイオレーション。
フロントコート front court
相手チームのゴール(バスケット)の後方のエンドラインからセンターラインまでのコート半分の部分。残りがバックコートback court。
8秒ルール 8-seconds rule
エンドラインからスローインのあと,8秒以内にフロントコートにボールを進めなかったときのバイオレーション。
24秒ルール 24-seconds rule
ボールを保持したチームが24秒以内にショットをしなかったときのバイオレーション。
バックパスルール back pass rule
いったんフロントコートでボールを保持したチームのプレーヤーは,そのボールをバックコートに返すことはできないという規則。この違反はバイオレーション。
フリースロー free throw
ファウルされたときにプレーヤーに与えられる特別のショット。その本数はケースによって異なる。
ワンエンドワンスロー one and one throw
1チームが各ハーフにパーソナルファウルでもテクニカルファウルでも7回のプレーヤーファウルを犯したあと,そのチームがボールを保持していないときのすべてのパーソナルファウルに対して科せられる罰則によるフリースロー(1投目が成功すれば2投目が与えられる)のことで,相手チームに与えられる。
バスケットカウント basket count
ショットの動作中にファウルされつつも,そのショットが成功した場合。
カウントワンスロー count one throw
バスケットカウントの際与えられる1本のフリースロー。
ダンキングショット dunking shot
ボールをゴールの上からたたき込むようにして行うショット。
マン・ツー・マン・ディフェンス man to man defense
5人のプレーヤーが原則的におのおの相手チームのプレーヤーを1人ずつマークして守る方法。
ゾーンディフェンス zone defense
相手チームが攻めてくる地域を5人のプレーヤーが全員で,それぞれの場を決めて,集中して守る方法。
インテンショナルファウル intentional foul
故意のファウルと審判が判断したパーソナルファウル。
マルティプルファウル multiple foul
一方のチームの2人以上のプレーヤーが,ほとんど同時に同じ相手に対してパーソナルファウルを犯した場合。
ディスクオリファイイングファウル disqualifying foul
プレーヤーのテクニカルファウル,パーソナルファウルのうち,とくに悪質なもの,はなはだしくスポーツマンらしくないファウル。
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百科事典マイペディア 「バスケットボール」の意味・わかりやすい解説

バスケットボール

球技の一種。日本ではかつて〈籠球(ろうきゅう)〉とも呼ばれた。1チーム5人ずつの2チームがコート内で1個のボールを奪い合い,相手側のバスケットに入れその得点を競う球技。ボールは周囲の長さ75〜78cmで,手で扱い,ドリブル,パスなどにより運ぶ。バスケットは内径45cmの鉄製リングに白ひものネットを下げたもので,リング上縁は水平で床からの高さ3.05m。競技時間はハーフタイム10分をはさんで前半・後半各20分。1891年アメリカのYMCA体育学校教師J.A.ネイスミスが室内競技として考案。アメリカでは野球,アメリカン・フットボールと並ぶ人気スポーツに発展し,YMCA等を通じて世界的にも広く普及した。日本での普及は1914年F.H.ブラウンが紹介して以後のこと。アメリカには1898年からプロバスケットボールがあり,現在のNational Basketball Association(NBA,1949年設立)には29チームが所属している。オリンピック種目としては男子は1936年ベルリンオリンピックから正式種目,女子は1976年のモントリオールオリンピックから採用されている。1904年のセントルイスオリンピックで男子が公開競技として行われた歴史がある。男女ともアメリカが強豪だが,男子は1992年のバルセロナオリンピック以降,アメリカがNBAのスター選手によるドリームチームを結成して注目を集めたが,2004年のアテネオリンピックでドリームチーム結成後初めて金メダルを逃した(アルゼンチンが金,イタリアが銀で,アメリカは銅)。アジアでは過去に女子で中国が銀1,銅1,韓国が銀1を獲得している。→スリー・オン・スリー
→関連項目大森兵蔵カヌーポロジョンソン

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世界大百科事典(旧版)内のバスケットボールの言及

【スプリングフィールド】より

…スプリングフィールド銃が製造された合衆国最古の兵器廠(1794設立)があり,この中に銃器博物館がある。バスケットボール発祥の地であり,スプリングフィールド大学内にはバスケットボールの殿堂が設けられている。アメリカン・インターナショナル大学,ウェスタン・ニューイングランド大学など大学の数も多い。…

【ネットボール】より

…イギリスを中心にその関係諸地域に普及している競技のほか,日本の小学校では別種のゲームがネットボールの名で行われている。前者はバスケットボールの一つの変型として1900年前後にアメリカからイギリスに伝えられ,主として女子学生のスポーツとして発展した。コートは幅50フィート(15.24m),長さ100フィート(30.48m)で,長辺を3等分したエリアに分けられる。…

※「バスケットボール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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