日経平均株価や東証株価指数(TOPIX(トピックス))などの株価指数(インデックス)に連動した運用成果を目ざす投資手法。投資信託や年金などの運用手法の一種で、市場での平均的なリターンを追求する。インデックス運用ともよばれる。株価指数を構成している全銘柄を運用対象に組み入れた「完全法」や、時価総額が大きく流動性の高い銘柄を中心に運用する「最適化法」などがある。あらかじめ投資銘柄の選択や組み入れ比率の基準は決められており、変動が生じた際にのみ、機械的あるいは定期的に投資銘柄の入れ替えを行う。このため銘柄の入れ替え回数を抑えることができ、運用専門家(ファンドマネージャー)の詳細な調査や分析も必要ないため経費率が低く、販売手数料や信託報酬を低く抑えることができる。したがって投資家への安定的な利益配分が可能な運用手法とされている。アメリカではニューヨーク・ダウ(ダウ工業株30種平均)、ナスダック総合指数、S&P500種株価指数などに連動して運用する。パッシブ運用を行う代表的商品がインデックスファンド(インデックス投信)や上場投資信託(ETF)である。インデックスファンドは1971年、アメリカでウェルズ・ファーゴ銀行が初めて組成、1975年に大手投資信託会社バンガード社がS&P500種株価指数に連動する投資信託として開発・販売し、その後世界的な人気をよび、日本でも急速に普及した。
パッシブ運用に対し、市場平均を上回る高い成果を目標とする投資手法をアクティブ運用active managementといい、アクティブ運用の代表的商品がアクティブファンドである。アクティブファンドではファンドマネージャーが独自に調査・分析して厳選した銘柄で運用し、経済動向に応じて頻繁に銘柄を組み替える。このためアクティブファンドの売買手数料や信託報酬はインデックスファンドより高めとなることが多い。
[矢野 武 2016年5月19日]
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