パナソニック(読み)ぱなそにっく

共同通信ニュース用語解説 「パナソニック」の解説

パナソニック

白物家電や住宅設備、車載用電池など幅広い製品を手掛ける総合電機メーカー。創業者は「経営神様」と呼ばれた松下幸之助まつした・こうのすけで、大阪府門真市に本社を置く。2008年に社名を当時の「松下電器産業」から、グローバルブランド名の「パナソニック」に変更した。4月1日付で持ち株会社「パナソニックホールディングス」が発足する予定。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パナソニック」の意味・わかりやすい解説

パナソニック(株)
ぱなそにっく

日本の総合家電メーカー。持株会社パナソニックホールディングス傘下で、パナソニックグループの中核企業である。1918年(大正7)、松下幸之助が大阪市で創業した松下電気器具製作所が前身。コンセントのない時代に、電灯と電化製品を同時に使えるようにする二股(ふたまた)ソケット(二灯用差し込みプラグ)などから事業を始め、自転車用電池ランプ、ラジオ、乾電池、電球などに広げた。1927年(昭和2)からナショナル商標を使い、全国に組織化した販売店網を構築。1935年に松下電器産業(株)に改組した。第二次世界大戦後は急速な家電普及にあわせ、洗濯機、冷蔵庫の製造を開始し、1952年(昭和27)にはオランダフィリップス社と提携しテレビ製造を始めた。1953年に中央研究所を設立して研究・開発体制を整え、1950年代に半導体、高度成長期にカラーテレビやステレオ、1970年代には家庭用ビデオ機器などを製造・販売し、ブランド名をナショナルからパナソニック(1955年から一部製品で使用、2003年にグローバルブランドとなる)へ移行しながら日本の家電ブームを先導した。他社の先行製品に、より安価で品質を向上させた類似製品で対抗する商品戦略を展開し、1984年に連結営業利益で最高益(5756億円)を確保した。賃金を欧米並みに引き上げ、いち早く週休二日制を導入(1965)し、末席役員を25人抜きで社長に抜擢(ばってき)(1977)するなど大胆な人材登用を行い、日本を代表する企業となった。この間、1959年にアメリカ松下電器、1961年にナショナル・タイを設け、1978年に中国の首脳、鄧小平(とうしょうへい)の来日時に同社工場を視察した縁で中国とのパイプを築くなど、広く海外事業を展開した。

 しかし1990年代以降、長期沈滞する日本経済を象徴するように業績が低迷。「従業員を解雇しない」との松下幸之助の経営哲学に反し、2001年(平成13)に1万3000人のリストラを断行し、アジア企業との激しい競争でプラズマテレビ(2014)、半導体(2020)、太陽電池(2021)などの事業から撤退した。2008年に社名をパナソニックに変え、使用ブランドもパナソニックに統一して成長を目ざした。2010年にアメリカのテスラ社と電気自動車用電池で提携し、2011年にはパナソニック電工(株)や三洋電機(株)を完全子会社化してグループ事業を再編したが、ほぼ40年にわたって1984年の最高益を更新できていない。2022年(令和4)、事業ごとに経営・投資・採用・給与などの権限を委譲してスピード感ある経営を目ざす持株会社体制へ移行した。移行に伴い上場を廃止(パナソニックホールディングスが上場)。本社を東京都港区東新橋、本店を大阪府門真(かどま)市に置き、本社機能の一部を創業の地である大阪から東京へ移した。資本金5億円、売上高3兆6476億円、従業員約9万7000人(2022年3月。連結ベース)。

[矢野 武 2023年6月19日]

『松下電器産業株式会社編・刊『松下電器五十年の略史』(1968)』『松下電器産業株式会社編・刊『社史 松下電器激動の十年――昭和四十三年~昭和五十二年』(1978)』『松下電器産業株式会社編・刊『日に新た――松下電器七十五年の歩み』(1994)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パナソニック」の意味・わかりやすい解説

パナソニック
Panasonic Corporation

家庭用電気機器メーカー。家庭用電子機器,電化製品,FA機器,情報通信機器,住宅関連機器などの生産,販売,サービスを手がける。1918年松下幸之助により松下電気器具製作所として創業。1927年製品に「ナショナル」の商標を採用。1929年松下電器製作所と改称,1931年ラジオ,乾電池の製造を始め,1935年株式会社に改組し松下電器産業に社名変更。この頃からテレビの研究を開始した。第2次世界大戦終了後,いち早く家庭用電器製品の生産に着手し,1951年の民間放送開始によるラジオ販売の飛躍的な伸びやその後のテレビ,洗濯機などの量産化によって家庭電化ブームの先駆となった。1952年オランダのフィリップスと技術提携し,合弁会社松下電子工業を設立(1993合弁解消)。1955年輸出用スピーカに「パナソニック」の商標を初めて採用。1958年松下通信工業(→パナソニックモバイルコミュニケーションズ),1976年松下電子部品,1977年松下住設機器,松下産業機器を設立するなど,数多くの子会社,関連会社を設立して事業の拡充をはかった。また,1959年のアメリカ松下電器設立以後,世界各国に製造販売の拠点を拡大。1990年にはアメリカ合衆国の映画・娯楽産業ミュージック・コーポレーション・オブ・アメリカ MCAを買収したが,1995年その株式の 80%を売却した。2003年海外向け製品の商標を「パナソニック」に統一。2008年現社名に改称するとともに,国内向け製品の商標も「パナソニック」に統一すると発表。2011年三洋電機を完全子会社化した。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「パナソニック」の解説

パナソニック

正式社名「パナソニック株式会社」。英文社名「Panasonic Corporation」。電気機器製造業。大正7年(1918)前身の「松下電気器具製作所」創業。昭和4年(1929)「松下電器製作所」に改称。同10年(1935)「松下電器産業株式会社」設立。平成20年(2008)現在の社名に変更。本社は大阪府門真市大字門真。総合電機メーカー。家庭電化製品のシェアトップクラス。音響・映像関連機器にも実績。ほかに半導体・電子部品など。東京証券取引所第1部・名古屋証券取引所第1部上場。証券コード6752。

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