日本大百科全書(ニッポニカ) 「パナソニック電工」の意味・わかりやすい解説
パナソニック電工
ぱなそにっくでんこう
2012年(平成24)まで存在したパナソニックグループの住宅・設備関連の電機メーカー。松下幸之助が創業した松下電気器具製作所で配線・照明・電熱器具を扱った第3事業部(配線器具部門)が前身である。1935年(昭和10)、松下電気器具製作所から松下電器(株)として独立。第二次世界大戦中は松下航空工業と改称して航空機部品を生産したが、敗戦後の1945年(昭和20)に社名を松下電工に改め、配線器具中心に事業を戻した。その後、家庭用蛍光灯器具、建築内装用プラスチック積層製品などへ商品を広げ、1950年代に大阪、東京証券取引所に上場。1963年、松下電器産業と共同でプレハブ住宅のナショナル住宅建材(現、パナソニックホームズ)を設立し、松下電工自体も「新しい住まいづくりの総合メーカー」をスローガンに、電気設備資材、住宅設備建材を幅広く生産・販売する企業を目ざした。2008年(平成20)、社名を松下電工からパナソニック電工に変更。松下幸之助の祖業である配線器具を引き継いだため「電工こそ本流」との意識が強く、パナソニックグループにありながら独立独歩の姿勢を貫いていたが、2011年、業績が低迷する同グループ全体の事業再編にあわせて上場を廃止し、パナソニックの完全子会社となった。翌2012年にはパナソニックに吸収合併され、76年あまりの歴史に幕を閉じた。
[矢野 武 2023年6月19日]