パパイア

デジタル大辞泉 「パパイア」の意味・読み・例文・類語

パパイア(papaya)

パパイヤ

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精選版 日本国語大辞典 「パパイア」の意味・読み・例文・類語

パパイア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] papaya ) パパイア科の小高木。アメリカ熱帯地方の原産。高さ七メートルに達する。茎、葉を切ると白い乳液が出る。葉は梢頭に群がってつき長柄をもって開出し、長さ約五〇センチメートルの掌状複葉で五~九裂、各裂片はさらに裂ける。雌雄異株。花は黄白色の五弁花で径約二センチメートル。果実は長楕円形で長さ八~二〇センチメートル、黄色く熟し芳香と甘味があり生食される。未熟の果実の乳液からパパインをとる。ちちうりのき。木瓜(もっか)。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「蕃瓜樹(バパヤー) 西カルライン群島中のハラオ島より移植せり」(出典:風俗画報‐三四四号(1906)植物)

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食の医学館 「パパイア」の解説

パパイア

《栄養と働き》


 パパイアは中南米原産の草本状低木で、雄木が生長するにつれて雌木となり、実を結ぶ原始的なくだものです。16世紀にスペインの探検隊によって発見され、世界に広まりました。日本に入ったのは明治時代半ばで、現在は沖縄や西南諸島で栽培されていますが、出回っている大半はハワイからの輸入品です。
〈酵素の働きで消化促進、がん予防に貢献する〉
○栄養成分としての働き
 パパイアには果肉が黄色とオレンジ色の2種類がありますが、いずれも甘くやわらかで芳香があり、トロピカルフルーツの代表的存在です。
 パパイアはビタミンCが豊富で、その含有量はミカングレープフルーツを上回り、中型1個で1日の所要量を摂取することができます。カロテンも比較的多く、ビタミンCとの相乗作用紫外線への抵抗力が増すと考えられています。ビタミンC、カロテンは果肉がオレンジ色に熟したものほど含有量が多く、とくにカロテンは未熟なものの4倍にもなります。
 果肉のオレンジ色はカロチノイド色素で、リコピンを多く含んでいます。リコピンは呼吸器系の免疫力を増強する働きがあり、肺がんなどに効果があるとされています。また、パパイアにはカルパインという酵素があり、これに抗がん活性効果が認められています。
 ほかに粘膜(ねんまく)を強化し糖質の代謝に欠かせないビタミンB群、疲労回復に役立つ酒石酸(しゅせきさん)リンゴ酸クエン酸などの有機酸類、カリウムやリンなどのミネラルも含まれています。食物繊維ペクチンも多く、便秘(べんぴ)予防に効果があります。
 パパイアの幹や未熟な実を傷つけるとでる白い液には、たんぱく質分解酵素であるパパインが含まれています。そのため肉料理といっしょに食べれば消化が促進され、胃もたれを防ぎます。
 調理前に肉を果汁に浸したり、パパイアの皮で包んだりすると、パパインの働きで肉がやわらかくなります。また、ビールの寒冷混濁防止にもパパインが利用されています。
 パパイアには穏やかな抗菌作用と、傷ついた箇所の修復を促進する作用があります。そのため、肌の手入れに使うと、パパインの働きも加わって角質を分解し、古い皮膚を治療するので、つるつるの美肌になります。またやけどや傷にも効果があります。なお完熟したものには、パパインの効果はあまり認められません。

《調理のポイント》


 選ぶ場合は小ぶりで細長いものを。少しやわらかくなったころが食べごろです。縦半分に切って種を除いて食べますが、酸味が少ないのと特有の香りがあるので、レモンライム絞り汁をかけて食べます。冷蔵庫に入れると低温障害を起こし、腐りやすくなるので、室温で保存します。未熟のパパイアはサラダやスープ、肉との炒(いた)めものなどに用います。

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改訂新版 世界大百科事典 「パパイア」の意味・わかりやすい解説

パパイア
papaya
pawpaw
Carica papaya L.

パパイア科の軟質の木部を有する草的な木本植物。若葉と幼果は野菜に,熟果は果物として利用される。乳液から採取されるタンパク質分解酵素パパインpapainは,ビールの清澄剤や肉類の軟化剤に重用されている。茎は太く直立し,あまり分枝せず,高さ3~10mになる。雌雄異株に加えて雌雄同株もある。雌株では,花は葉腋(ようえき)に1~3個が短い花柄上に生じる。雌雄同株の花の外観は雌株の花に類似するが,花弁におしべが着生している。雄株では30cm以上の花柄を伴う花序がでて分枝し,多数の雄花がつく。熱帯域では通年開花結実をする。果実は大きさ,形状とも変異に富むが,多くは長卵形から球形,大型のものでは長さ40cm,重さ数kgにもなる。果皮はうすく,果実は軟らかく多汁である。カボチャの果実内部のような空間に,多数の黒色で直径5mmほどの種子がある。種子繁殖が通常であり,発芽はよく,半年ほどで開花を始める。メキシコ,コスタリカ地方が原産で,世界の熱帯,亜熱帯で広く栽培され,日本でも沖縄や鹿児島県地方で栽植される。果実は生食のほか,清涼飲料,ジャム,アイスクリームなどに用いられる。

 未熟果の切傷から集めたパパインは,前述の利用のほか,消化剤,皮なめし,ウールの防縮剤など多方面に用いられ,種子も駆虫剤となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パパイア」の意味・わかりやすい解説

パパイア
Carica papaya; papaya

パパイア科の高木で,メキシコ付近が原産といわれるが熱帯,亜熱帯にごく普通に栽培される代表的な熱帯果樹である。幹は直立し枝がなく,長い葉柄のある掌状に裂けた葉を頂端近くに集めてつける。植物体全体に白い乳液を含み,切り口はねばねばする。雌雄異株。雄株では長い花序が葉腋から生じ,黄白色の花を多数つけて垂れ下がる。雌株では短い花柄が葉腋から出て雄花より大きい鐘形の花を単生または2~3個つける。まれに両性花をつける株がある。果実は倒卵形で長さ8~20cmぐらいとなり,緑色で,熟すると橙黄色を帯びる。厚い果肉はカボチャのような色であるが甘みがあって美味。蛋白消化酵素のパパインを含むので有名である。生食のほか加工され,ケチャップ,ピクルス,製菓原料や薬用に利用される。

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百科事典マイペディア 「パパイア」の意味・わかりやすい解説

パパイア

中米原産のパパイア科の小高木。古くから熱帯各地に栽培されている。幹は直立し,軟質で,表面は灰青色。葉は掌状葉で,長い柄があり,幹の上部に束生する。雌雄異株だが,同株もある。果実は楕円体状で長さ8〜20cm,果肉はだいだい色で厚く,中心は空洞状となり多数の種子を含む。タンパク質分解酵素のパパインを含有。かおりがよく賞味される。

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