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パピニアヌス Papinianus, Aemilius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

パピニアヌス
Papinianus, Aemilius

[生]140頃.エメリ(現シリア,ホムス)
[没]212
ローマ法学者中,最高権威の一人。セウェルス帝の顧問会の一員で,副皇帝ともいうべき近衛の要職にあったが,セウェルスの子カラカラ帝の命によって殺された。伝説によると,カラカラの弟および政敵ゲタ暗殺事件を正当化しようとしたカラカラの意に従わなかったためといわれる。このために,後世「正義の権化」と尊敬された。法律問題の解決にあたっては,衡平の観念に基礎をおき,技術的処理よりも倫理的正しさを追求した。主著『質疑録』 Quaestiones (37巻) ,『解答録』 Responsa (19巻) は,前代の学者の創造した成果をさらに完成の域に導き,これを精密にしたローマ法学の精華であるといわれている。

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世界大百科事典 第2版の解説

パピニアヌス【Aemilius Papinianus】

?‐213
ローマ法古典期晩期(元首政期)の代表的法学者。その出身は不詳。セプティミウス・セウェルス帝のもとで近衛長官を務めたが,カラカラ帝が弟ゲタを殺害した際これを是認せず,このため同帝により命を失った。深い思考,確かな判断,倫理的側面の重視などから最も優れたローマ法学者に数えられ,ことに後古典期において,またその影響のため中・近世のヨーロッパにおいて,最高最大の法学者としてあがめられた。代表的著作として,事例解決にその重点を置き,併せて理論的考察をも含む《質疑録》37巻,《解答録》19巻がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パピニアヌス
ぱぴにあぬす
Aemilius Papinianus
(?―212)

古代ローマの法学者。シリアまたはアフリカ出身といわれるが確かでない。皇帝セプティミウス・セウェルスの姻戚(いんせき)ともいわれ、ともにスカエウォラの門弟として、同帝に重用され、203年以来近衛(このえ)総監となるが、212年カラカラ帝の弟ゲタ殺害に賛成しなかったので処刑された。近衛総監のとき、パウルスとウルピアヌスを顧問員として有力な解答responsaを多く発した。著書に『質疑録』Quaestiones、『解答録』Responsa、『姦通(かんつう)論』De Adulteriisなどがある。しかしユスティニアヌス1世の『学説集』Digestaにおける引用は、ウルピアヌスの6分の1、パウルスの3分の1と比較的少ない。[弓削 達]

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