ウルピアヌス(読み)うるぴあぬす(その他表記)Domitius Ulpianus

デジタル大辞泉 「ウルピアヌス」の意味・読み・例文・類語

ウルピアヌス(Domitius Ulpianus)

[170ころ~228]ローマ法学者。「ローマ法大全」の「学説集」50巻のうち、3分の1の法文は彼の論著の引用とされる。著「告示註解」。

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精選版 日本国語大辞典 「ウルピアヌス」の意味・読み・例文・類語

ウルピアヌス

  1. ( Domitius Ulpianus ドミティウス━ ) 古代ローマの法学者。先進学者の業績を集大成し、膨大な著作を残して、「ローマ法大全」に多大な影響を与えた。(一七〇頃‐二二八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルピアヌス」の意味・わかりやすい解説

ウルピアヌス
うるぴあぬす
Domitius Ulpianus
(?―223)

古代ローマの法学者。フェニキアチュロスの出身。カラカラ帝(在位212~217)の時代に多数の著書論文を著したが、次のエラガバルス帝によって追放され、セウェルスアレクサンデル登極(222)とともに新帝に重用され、親衛隊長praefectus praetorioなどの要職を兼任したが、親衛隊兵士の反乱で殺された。没年はかつては228年と誤って考えられていた。その学説は、『ローマ法大全』中の『学説集』Digestaに引用された学説のうちの3分の1を占めており、2位のパウルスの2倍をなす。先行のローマ法学者の学説を包括的に、しかも明快に紹介、解明したことに特徴がある。

[弓削 達]

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改訂新版 世界大百科事典 「ウルピアヌス」の意味・わかりやすい解説

ウルピアヌス
Domitius Ulpianus
生没年:?-223

ローマ古典期晩期の,パウルスとほぼ同時代の代表的法学者。フェニキア地方の出身とされ,パピニアヌスに法学を学び,セウェルス・アレクサンデル帝のもとで近衛長官を務めたが,その在任中近衛軍団兵により同帝の面前で暗殺された。代表的著作として,それ以前の法学者の見解を理解しやすい叙述で集大成した大部の《告示注解》81巻,《サビヌス注解》51巻(未完)などがあり,ユスティニアヌス1世の〈学説彙纂〉は,ウルピアヌスのこれらの著作から最も多くの法文(全体の約3分の1に及ぶ)を採録している。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルピアヌス」の意味・わかりやすい解説

ウルピアヌス
Ulpianus, Domitius

[生]170頃.フェニキア,チルス
[没]228. ローマ
ローマの法学者。 222年に副皇帝ともいうべき近衛長官 praefectus praetorioとなり,セウェルス・アレクサンデル帝の諮問官を歴任。 228年近衛軍の反乱により殺害された。パウルスとともにローマ法学徒中,最大の多作家であるが,ただ先人の業績を解釈し,体系的に集大成した点に特徴があり,パウルスと同様,解釈法学的学風の持主であった。ユスチニアヌス1世の『学説彙纂』 Digestaは,その3分の1が彼の著作を資料としている。

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世界大百科事典(旧版)内のウルピアヌスの言及

【正義】より


[意義]
 人間の行為を,正しい,正しくないというように判断するための基準が正義である。正義の古典的定義として有名なのは,ローマ法学者ウルピアヌスの〈各人に彼のものを与えんとする恒常的意思〉という定義であるが,さらにその源をたどればアリストテレスの正義概念にさかのぼる。アリストテレスは,正義とは均等的,〈価値に相応の〉ということであり,不正とは不均等的,〈過多をむさぼる〉ことであるとした。…

【生命表】より

…とくに,0歳の平均余命のことを〈平均寿命〉と呼んでおり,単なる平均値でない点に留意する必要があろう。
[生命表の歴史]
 最も古い生命表はローマ帝国のウルピアヌスDomitius Ulpianusが364年に作成したといわれる年齢別平均余命表である。しかし,近代的な意味で初めて生命表を作ったのは,統計学の一大潮流の一つであるイギリスの政治算術学派の生みの親でもあるJ.グラントであるといわれる。…

※「ウルピアヌス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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