ウルピアヌス(読み)うるぴあぬす(英語表記)Domitius Ulpianus

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルピアヌス」の意味・わかりやすい解説

ウルピアヌス
うるぴあぬす
Domitius Ulpianus
(?―223)

古代ローマの法学者。フェニキアチュロスの出身。カラカラ帝(在位212~217)の時代に多数の著書論文を著したが、次のエラガバルス帝によって追放され、セウェルスアレクサンデル登極(222)とともに新帝に重用され、親衛隊長praefectus praetorioなどの要職を兼任したが、親衛隊兵士の反乱で殺された。没年はかつては228年と誤って考えられていた。その学説は、『ローマ法大全』中の『学説集』Digestaに引用された学説のうちの3分の1を占めており、2位のパウルスの2倍をなす。先行のローマ法学者の学説を包括的に、しかも明快に紹介、解明したことに特徴がある。

[弓削 達]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウルピアヌス」の意味・わかりやすい解説

ウルピアヌス
Ulpianus, Domitius

[生]170頃.フェニキア,チルス
[没]228. ローマ
ローマの法学者。 222年に副皇帝ともいうべき近衛長官 praefectus praetorioとなり,セウェルス・アレクサンデル帝の諮問官を歴任。 228年近衛軍の反乱により殺害された。パウルスとともにローマ法学徒中,最大の多作家であるが,ただ先人業績を解釈し,体系的に集大成した点に特徴があり,パウルスと同様,解釈法学的学風の持主であった。ユスチニアヌス1世の『学説彙纂Digestaは,その3分の1が彼の著作を資料としている。

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