衡平(読み)こうへい(英語表記)equity

翻訳|equity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

衡平
こうへい
equity

具体的事件に法を適用すると実際に不当・不公平な結果になるようなとき,それを是正する原理。「法は善と衡平の術なり」ともいわれ,この原理から,古代ローマ法では市民法に対する法務官法が,イギリスではコモン・ローに対するエクイティ (衡平法 ) が生れた。

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世界大百科事典 第2版の解説

こうへい【衡平 equity】

衡平は法および正義と密接な関係をもつ価値理念である。法の理念である正義は〈等しきものを等しく〉扱うことを求める。各事例を場当り的(アド・ホック)にではなく,重要とされる一定の特徴に応じて類型的に扱うこと,すなわち,一定類型の事例に一定類型の取扱いを対応させる一般的準則に従って個々の事例を裁定することが正義の要請であり,法の一般性はその帰結である。しかし,法が規律する現実はきわめて複雑,多様,可変的で,一般的法準則の創設にあたって,その趣旨に関連する現実の全側面をあらかじめ網羅的に勘案するのは人間の認識能力を超え,不可能である。

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大辞林 第三版の解説

こうへい【衡平】

つりあうこと。平衡。
法規を機械的に適用したのでは不適切な結果を生じる場合に、抽象的な法規を具体的事例に適するように調整する基準。

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精選版 日本国語大辞典の解説

こう‐へい カウ‥【衡平】

〘名〙 つりあいがとれていること。つりあうようにすること。平均。〔布令字弁(1868‐72)〕〔漢書‐王莽伝〕

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世界大百科事典内の衡平の言及

【衡平法】より

…英米法系で,厳格法たる普通法,コモン・ローと対比され,もともとは衡平・正義感を基準にしてのコモン・ローの補正原理であったものが,判例法として凝固してでき上がった法の総称。すなわち衡平法とは,厳格で形式的・一般的な法に対して,個々の事件のもつ特殊性を重視し,普遍性のゆえに不完全となりうる法を具体的に補正する原理であったエクイティ(衡平)が,イギリスにおいては特殊な歴史的理由から,法をつかさどる裁判所すなわち各種のコモン・ロー裁判所とは別の裁判組織で体系的につかさどられるうちに漸次固定化・組織化され,コモン・ローとは別ではあるが同じような一種の実定的な判例法になってきたものを呼ぶのである。…

【コモン・ロー】より

… この後コモン・ローは,その一応の確立期である13世紀末ごろから固定化の傾向を見せ始め,それにつれて漸次動きつつある現実を規制するのに必ずしも十分でなくなってくる。ここに,この間のずれを,衡平感情や正義感ないしはヨーロッパ大陸で一般的に用いられつつあったローマ法を基礎にして,埋めないしは補正していく必要が生ずるが,イギリスではこの仕事はコモン・ロー裁判所とは別の組織である国王評議会,さらにはそこから派生した裁判所が担った。その際これら新裁判所は,当然のことながらコモン・ローやその手続にのっとらずに裁判を行った。…

※「衡平」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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