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ビアス Bierce, Ambrose Gwinnett

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ビアス
Bierce, Ambrose Gwinnett

[生]1842.6.24. オハイオ,メーグズ
[没]1914? メキシコ?
アメリカのジャーナリスト,作家。貧しい農家に生れ,さまざまな職業を経たのち,南北戦争に参加して重傷を負い,戦後サンフランシスコに出てジャーナリストになった。 1872~75年イギリスに滞在,帰国後再びサンフランシスコに落ち着いて,新聞,雑誌に辛辣な筆をふるい「ビター・ビアス」と恐れられた。 1913年秋にはアメリカでの生活にいや気がさし革命下のメキシコに旅行,そのまま消息を絶った。代表作は,南北戦争の経験を踏まえ,死をめぐる人間のさまざまな姿を描いた『生のさなかに』 In the Midst of Life (1891) ,超自然的恐怖を扱った『世にも怪奇な物語』 Can Such Things Be? (93) の2冊の短編集で,E. A.ポー流の怪異の物語が巧みな構成で扱われている。冷嘲的な定義を盛った『悪魔の辞典』 The Devil's Dictionary (1906) も有名。

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百科事典マイペディアの解説

ビアス

米国のジャーナリスト,作家。南北戦争従軍後,サンフランシスコの新聞で辛辣(しんらつ)な筆をふるい,一時渡英した後,再び西海岸ジャーナリズム君臨。短編集《いのち半ばに》(1891年),警句集《悪魔辞典》(1906年,増補版1911年)等でE.A.ポー再来とうたわれた。

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世界大百科事典 第2版の解説

ビアス【Ambrose Gwinnett Bierce】

1842‐1914?
アメリカのジャーナリスト,作家。南北戦争に参戦した経験もあって《兵士と市民の物語》(1891。のち改題して《いのち半ばに》)という短編集で知られるが,冷笑的な描写を緊張度の高い技法で読ませる特徴をもっている。幼少年時代の貧しい農家の生活,宗教上のしつけに厳格な両親に対する反抗心などから,早くから自活の道に入り,同時に温かい家庭への憧憬と冷笑的な人生観をはぐくむようになっていった。その冷笑家ぶりは《冷笑家用語集》(1906。

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大辞林 第三版の解説

ビアス【Ambrose Bierce】

1842~1914?) アメリカのジャーナリスト・小説家。人生に対する皮肉に満ちた作品で知られる。短編小説集「命半ばに」、警句集「悪魔の辞典」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ビアス
びあす
Ambrose Bierce
(1842―1914?)

アメリカのジャーナリスト、小説家。辛辣(しんらつ)無比の風刺家、短編の名手として知られる。オハイオ州の貧しい農民の子に生まれ、早くから、宗教的に厳格な両親や、因襲的な環境に反発し、偏狭な性格をもつに至った。印刷工見習いなどを経て、1861年、南北戦争勃発(ぼっぱつ)とともに志願兵として北軍に加わり、戦場で勇敢な兵士として勲功をあげたが、戦争の悲惨さと死の恐怖を冷徹に見つめる目ももっていた。戦後、サンフランシスコに移り、1868年、同地の週刊紙『ニューズ・レター』の編集長としてジャーナリズムの世界に入る。1872年ロンドンに渡り、皮肉のきいた風刺文を新聞、雑誌などに発表。4年後ふたたびサンフランシスコに戻り、以後20年余り、「ニガヨモギと酸をインキがわりに用いた」といわれる辛辣な筆を縦横に振るった。彼一流のアフォリズムを集めた『冷笑家用語集』(1906刊、1911『悪魔の辞典』と改題)は、風刺家としての一面を代表する。20世紀に入ってからは筆力も衰えをみせ、妻子の死など家庭生活の不幸も重なって、人間嫌いとなる。最後は文明社会アメリカにも絶望して、1913年の秋、革命に揺れるメキシコに旅立ったまま消息を絶った。短編集として、南北戦争を舞台に不条理な死を鋭利な技巧で描いた作品を含む『いのちの半(なか)ばに』(1891)がある。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)が『点心』で称賛して以来、日本でも愛読者が多い。ほかに超自然現象を扱った『怪奇な物語』(1893)がある。[渡辺利雄]

短編

「短編小説を組み立てさせれば、彼ほど鋭い技巧家は少ない」と、芥川龍之介にいわせたビアスは、アメリカ文学史上、E・A・ポー、O・ヘンリーと並ぶ短編の名手として知られ、なかでも、南北戦争を背景に死の諸相を描いた短編集『いのちの半ばに』In the Midst of Life(1891)は、彼の並々ならぬ文学的技巧の極致を示している。一分(いちぶ)のすきもなく組み立てられた作品は、結末で読者の意表をつき、人間存在の予測しがたい謎(なぞ)、人生の皮肉をかいまみせてくれる。
 この代表作『いのちの半ばに』の巻頭を飾る『空飛ぶ騎士』A Horseman in the Skyでは、敵の斥候となっていた父親を心ならずも狙撃(そげき)する若い兵士の悲劇が描かれるが、読者は狙撃の相手が父親であることを最後まで知らされない。有名な『アウル・クリーク橋の一事件』An Occurrence at Owl Creek Bridgeでは、北軍に捕らえられた南部の農園主が、鉄橋上で縛り首になる寸前、鉄橋から落ちて森に逃げ込み、自宅に戻って妻の出迎えを受ける幻想を一瞬抱く。読者には事実と幻想の区別がはっきりしないままに、突然、妻を抱き締めようとする彼が「首筋に気を失わんばかりの一撃を感じ」たことを告げられ、次の瞬間には「彼の死体は、首が折れたまま、アウル・クリーク橋の横木の下で左右に静かに揺れていた」ことを知らされる。鮮やかな幕切れというほかはない。[渡辺利雄]
『奥田俊介他訳『ビアス選集』全5巻(1968~1971・東京美術) ▽飯島淳秀訳『ビアス怪異譚』(1974・創土社/講談社文庫) ▽西川正身訳『いのちの半ばに』(岩波文庫) ▽谷口陸男著『文明憎悪の文学者――アンブローズ・ビアス』(1955・研究社出版) ▽西川正身著『孤絶の諷刺家アンブローズ・ビアス』(1974・新潮社)』

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