ビゴ(読み)びご(英語表記)Jean Vigo

デジタル大辞泉 「ビゴ」の意味・読み・例文・類語

ビゴ(Vigo)

スペイン北西部の港湾都市大西洋に面し、水産加工造船業が盛ん。1702年、イギリス・オランダ連合艦隊がスペイン艦隊を撃破した地。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビゴ」の意味・わかりやすい解説

ビゴ
びご
Jean Vigo
(1905―1934)

フランスの映画監督。パリ生まれ。29歳で夭折(ようせつ)した。生涯長編劇映画は『アタラント号』(1934)1本しかつくっていないが、その自由な映画作りは、後のヌーベル・バーグをはじめとして世界中に大きな影響を与えている。父親はアナーキストジャーナリスト、通称ミゲル・アルメレイダMiguel Almereyda(1883―1917)。父は獄中で亡くなり、不幸な少年時代を送った。肺結核ニースで療養中に、金持ちたちを皮肉に描いた中編ドキュメンタリー『ニースについて』(1929)を撮る。撮影はジガ・ベルトフДзига Вертов/Dziga Vertov(1896―1954)の弟ボリス・カウフマンBoris Kaufman(1897―1980)。1931年に短編ドキュメンタリー『水泳選手タリス』を撮影後、中編劇映画『新学期 操行ゼロ』(1933)を監督し、少年たちの反乱をシュールなタッチで描いた。『アタラント号』はミシェル・シモンMichel Simon(1895―1975)を起用し、船の上で生きる人々を描いた傑作であるが、公開当時はプロデューサーの手によってずたずたに編集された。死後、1951年にフランスで若手監督の優れた作品に与えられる「ジャン・ビゴ賞」が設けられた。

[古賀 太]

資料 監督作品一覧(日本公開作)

ニースについて À propos de Nice(1930)
水泳選手タリス Taris, roi de l'eau(1931)
新学期 操行ゼロ Zéro de conduite(1933)
アタラント号 L'Atalante(1934)

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百科事典マイペディア 「ビゴ」の意味・わかりやすい解説

ビゴ

フランスの映画監督。パリ生れ。《ニースについて》(1930年)と《水の王者タリス》(1931年)の2本の短編ドキュメンタリーを手がけた後,寄宿学校を舞台にした自伝的な中編《新学期・操行ゼロ》(1933年)を監督。寝室で子供たちが枕に詰められた羽毛を飛び散らかせて騒ぐアナーキーな場面で名高いこの作品は,本国では1946年まで上映禁止とされた。次いで,若い船長とその妻との葛藤を描いた長編《アタラント号》(1934年)を制作。しかし同年29歳で敗血症のため早逝した。〈呪われた映画作家〉と呼ばれたが,リアリズムに基づきながら,みずみずしい抒情と官能を生み出す映像は,後に高く評価された。フランス映画の新人監督の登竜門として〈ジャン・ビゴ賞〉が設けられている。また《アタラント号》の修復版が1990年に公開された(日本では1991年)。

ビゴ

スペイン北西部,ガリシア自治州ポンテベドラ県の大西洋岸の港市。漁業根拠地で水産加工・製材・皮革工業が行われる。観光・保養地でもある。1702年この沖でフランス・スペイン艦隊が,イギリス・オランダ艦隊に敗れた。29万5623人(2011)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビゴ」の意味・わかりやすい解説

ビゴ
Vigo

スペイン北西部,ガリシア州南西部,ポンテベドラ県の都市。ポルトガル国境に近く,カンタブリカ山脈の西端,大西洋岸のリア (峡湾) に面した港湾都市。古くから海軍基地があり,それをめぐって 16~18世紀にたびたび重要な戦いが行われた。漁業が重要であるが工業も発達し,機械製造,食品加工,製紙などが行われる。人口 27万 4629 (1991推計) 。

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