声楽における発声技法の一種。男性歌手が声域の上限を広げるために用いる高い声。日本では一般に「裏声」とよばれる。16、7世紀のイギリスでとくに重要な発声技法で、これを売り物にする歌手も多く存在した。彼らはメイル・アルトmale altoまたはカウンター・テナーcounter tenorとよばれ、女性のアルトと同じ声域を出していた。しかしカストラート(少年時の声域を保つため去勢した男性歌手)とは異なり、声量の面で力強さを欠くため、今日ではテノール歌手がときおりこの技法を用いる程度である。ポピュラー音楽の世界では男性ソウルシンガーが好んでこの技法を用い、民俗音楽の分野ではスイスのヨーデル、日本の民謡『ホーハイ節』などに使われている。
[アルバレス・ホセ]
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