森や山野の自然の地形や立木をそのまま利用し、丸太やロープを用いてつくられた野外運動用施設。また、その施設を使い、運動し、楽しみながら健康づくりができる野外活動システムのことである。
実業家の井坂弘毅(いさかこうき)(1933― )により1970年(昭和45)に企画立案され、野外での健康づくりシステムとして確立された。フィールドアスレチックという名称は、フィールド(野外)とアスレチック(体育)の合成語で、和製英語だが、英語圏でも浸透している。日本で生まれた野外活動であるが、アメリカ、韓国、中国などでも行われている。
1973年(昭和48)に日本フィールドアスレチック協会が設立され、同協会が商標登録した。74年に第1号の公認コースが静岡県南箱根にオープンした。その後、全国へ展開し、同協会公認および監修コース、さらに非公認・非監修コースを含め1000以上のコースがつくられている。各コースは、導入地域の文化や伝統、伝説、歴史などを基にテーマが設定されており、各施設もテーマに沿って独自に考案される。コース内の各施設とその配置については、自然環境、運動生理学、心理学、人間行動学、建築学などに基づき、コースごとに個別に企画設計されている。
フィールドアスレチックは、子供から老人まで、男女の区別なく、だれでも気軽に楽しむことができる。コース全体を通した運動は、日常使わない筋肉までも動かし、全身の筋肉をまんべんなく使うことになる。
フィールドアスレチックには、いくつかの種類がある。
(1)アスレサーキット フィールドアスレチックの代表的なシステムである。周回コースを1周する形式で、コース上に20以上の種目が配置されている。種目は、準備運動から始まり、ハードな運動を求められるものまでさまざまあり、心と体の動きを考慮して企画配置されている。
(2)アスレウォーズ 城攻めや合戦といった戦略性を織り込んだもので、大規模なフィールドアスレチックである。場内に配置された砦(とりで)を中心に、多数の種目、堀、塀などがあり、さまざまな順路で種目を突破することになる。グループごとに競い合うこともでき、団体でも楽しむことができる。
(3)アスレタワー フィールドアスレチックを立体的に配置したものである。大きさは10メートルから三十数メートルまでさまざまである。上り下りにいろいろな施設が配置されている。展望台や地域のシンボルタワーを兼ねたものもある。
(4)アスレバイク 自転車に乗って山野を疾走する、フィールドアスレチック版サイクリングである。山あり谷あり水上施設ありと、ダイナミックなスピード感が魅力である。
そのほかにも、オフロード自転車専用のオフロードアスレチックコース、温泉や温水プールを活用するアスレストーム、移動型フィールドアスレチック、幼児専用フィールドアスレチック、特殊訓練用フィールドアスレチックなど地域、用途にあわせてさまざまなものがある。
[井坂玲樹]
野外に遊具を複数おき,これを一巡するスポーツ。フィールド・アスレチックはfield(野外)とathletics(運動)を合成した和製英語で,日本フィールドアスレチック協会(1973年設立の任意団体)が商標登録した。歩行・走行と体操をくり返しながらコースをめぐる方式は北欧を起源とし,1968年にはスイスのチューリヒにビタ・パルクールVITA-Parcours(ビタ生命保険会社が寄贈したもの)ができた。これは森林公園の中の3kmほどのコースに20のトレーニングポイントを配置したもので,利用者は自分の所要時間などをカードに記入し,次回の参考にする。同様のものはドイツでもつくられたが,ことにドイツ・スポーツ連盟によるトリム運動の一環としてトリム公園の構想が73年に発表され,同時に,丸太でできた14の遊具を設けた広場を含むモデル公園がフランクフルトに誕生した。以後,体力づくりの手段として各国へ普及していった。この種の施設の総称として,ドイツではWaldsportpfad(森のスポーツ小道),日本では野外トリム施設と呼ぶこともあり,小規模のものは一般の公園の中にもとりいれられている。
執筆者:青木 高
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