フェルクリンゲン製鉄所(読み)フェルクリンゲンせいてつじょ(英語表記)Völklingen Ironworks

  • フェルクリンゲンせいてつしょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドイツ南西部,ザールラント州フェルクリンゲンに残る製鉄所跡。ザール川水運とロレーヌ地方の豊富な鉄鉱石,ザール地方の石炭に恵まれたこの地で製鉄所の操業が開始されたのは 1873年。その後の 100年間,フェルクリンゲンはヨーロッパ有数の製鉄都市として繁栄した。この製鉄所はガス送風棟やゴンドラ式トロッコ,乾式ガス精錬装置,さらに連続焼結設備など新技術の開発・導入で世界の製鉄産業で先駆的役割を果たした。第1次世界大戦,第2次世界大戦中は武器の生産,1960年代には好景気を謳歌したが,1970年代に入ってからはヨーロッパ製鉄産業全体を覆った不景気の影響を受けて経営危機に陥り,ついに 1986年操業停止にいたった。しかし,1992年製鉄所を記念建造物として保存することが決まり,博物館としてのみならず,会議場・ホール,ザールラント造形大学の実習所,さらに科学技術センターとして活用されている。 1994年世界遺産の文化遺産に登録。

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デジタル大辞泉の解説

Völklinger Hütte》ドイツ西部、ザールラント州の州都、ザールブリュッケン近郊の町、フェルクリンゲンにある旧製鉄所。1873年に操業開始。近代ドイツにおける工業化に大きく貢献し、1986年に操業停止。1994年、産業遺産として初めて世界遺産(文化遺産)に登録された。

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世界遺産詳解の解説

1994年に登録された世界遺産(文化遺産)で、ドイツ南西部ザールラント州にある産業遺産。銑鉄精錬の全工程を見学できる施設として貴重であり、ヨーロッパ全体でも重要な遺産となっている。1873年に創設され、1890年にはドイツ最大の規模に成長し、フランス、ルクセンブルクの製鉄所と並び、ヨーロッパの「石炭鉄鋼三角地帯」と称された。その後も発展を続け、1903年までに最盛期を迎えた。1986年に操業を終えたが、製鉄所の設備は修復され、十分な安全確保がなされた後、博物館などとして運営されることとなった。産業革命の歴史を伝える貴重な施設であり、長年にわたって世界の鉄鋼業を牽引してきた価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はVöelklingen Ironworks

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