フクバラハップ(英語表記)Hukbalahap

百科事典マイペディアの解説

フィリピン,ルソン島中部を中心に活動するフィリピン共産党系の反政府・抗日武装集団。正称は抗日人民軍(フクバラハップはそのタガログ語頭文字略称フク団)。第2次大戦中の1942年3月,日本軍の侵攻を機にタルクがゲリラ組織として結成し,日本軍追放と地主制打倒を掲げて活動。戦後人民軍(フクボン)と改称し,1952年ごろ最大勢力に達したが,政府の平定作戦でほとんど壊滅し,タルクは1954年投降し,議長ラバも1964年逮捕された。以後1969年に新人民軍が誕生するまで反政府・武装闘争は中断した。

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世界大百科事典 第2版の解説

フィリピン共産党(1938年社会党合併)が太平洋戦争の勃発と日本軍の侵攻を契機に,1942年3月29日,ルソン島中部のヌエバ・エシハ州カビヤオにおいて結成した抗日人民軍武装ゲリラ組織のこと。フクバラハップとは抗日人民軍のタガログ語名を略称したものである。最高司令官にはタルクが就任した。ゲリラ兵士の主力となったのは,社会党の指導下にあった全国農民組合(KPMP)の小作農貧農,社会党の大衆組織である労働者総同盟(AMT)傘下の労働者であり,こうして日本軍の侵攻直後,中部ルソンの貧農,小作農,労働者の一大結集が実現した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本占領時代フィリピンで結成された抗日人民軍Hukbo ng Bayan Laban sa Haponの略称。日本ではフク団ともよばれる。1942年3月29日、ルソン島中央部の森林の中で結成された。ルソン島中央部はフィリピンでもっとも小作率が高い地域で、30年代には社会党・共産党系の農民運動が盛んであった。フクバラハップはこれらの農民運動を中核に、マニラの労働者、進歩的知識人、中国人らが参加して結成され、日本軍への抵抗と地主制の打倒を目ざした。ルイス・タルクに率いられたその闘争力は抗日ゲリラ中最強で、45年1月アメリカ軍がルソン島再占領を開始したときには、ルソン島中央部はほとんど彼らの手で解放されていた。しかしフィリピンの地主勢力に味方するアメリカ軍は、マニラ占領と同時にフクバラハップの武装解除を命じ弾圧に乗り出した。

 第二次世界大戦後、フクバラハップは人民解放軍(HMB)と名称を改め、地主階級を基盤とする反共親米政権に武力抵抗を続けたが、1950年秋マグサイサイ国防大臣が登場して以後衰勢に向かった。

[池端雪浦]

『ルイス・タルク著、安岡正美訳『フィリピン民族解放闘争史』(1953・三一書房)』『W・J・ポメロイ著、木谷優梨子訳『比島フク団のたたかい 密林のゲリラ部隊』(1967・理論社)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

(Hukbalahap 抗日人民軍の意のタガログ語の略称) 太平洋戦争中、フィリピンの農民が組織した抗日ゲリラ組織。一九四二年社会党・共産党員の指導により中部ルソンで結成。戦後はフクボン(人民解放軍)に改称・改編。土地改革・民族独立を宣言して政府に対して武装反抗を続けたが、マグサイサイの巧妙な作戦で鎮圧された。フク団。

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

太平洋戦争中の1942年,フィリピンのルソン島中部で組織された共産系の抗日義勇軍。フク団ともいう
労働者・農民が日本軍に抵抗するために組織した遊撃隊で,タルクを指導者として日本軍の支配に大きな打撃を与えた。戦後一時解散したが,1950年3月人民解放軍(フクボン)に再組織され,武力闘争をすすめたが,54年には崩壊した。

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世界大百科事典内のフクバラハップの言及

【フィリピン】より

…しかし,それはまったくの傀儡(かいらい)共和国だったので,反日ゲリラ活動はいっそう激化した。全国各地で結成されたおびただしい数のゲリラ組織は,その大半が連合軍西南太平洋司令部の指揮下に属する〈ユサッフェ・ゲリラ〉であったが,中部ルソンに根拠地を置いたフクバラハップは,それらとは独立に独自の目標,すなわち,日本軍の追放と地主制打倒の二つの目標を掲げて戦った。44年10月,アメリカ軍のレイテ島上陸を皮切りに,アメリカのフィリピン再占領作戦が猛烈な勢いで展開され,45年9月3日,日本軍は完全降服した。…

【マグサイサイ】より

…戦後の46年にリベラル党のサンバレス州選出下院議員となり,国防委員会議長などを務めた。49年以降フィリピンはフクバラハップによる内戦に直面し,未曾有の政治危機に遭遇した。マグサイサイは50年国防長官に任命されてフクバラハップ討伐の最高責任者となり,アメリカの経済的・軍事的援助の下に鎮圧に成功した。…

※「フクバラハップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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