フレネル帯ともいう。光源(電波源)Tから出た波長λの球面波の一つの波面を別の点Rを中心とし,半径がλ/2ずつ異なる多数の球面で切って分けた環状帯をいう。フランスの物理学者A.J.フレネルがこれにより種々の回折現象を説明したのでこの名がある。通信分野では,送受信アンテナの中間に考えた波頭面を分割して得られる環状帯をさし,マイクロ波通信における障害物や遮へい物による回折効果を考えるときにつごうがよい。図で,A0,A1,A2,……を,
としたとき,環状帯A0A1,A1A2,……の部分をそれぞれ,第1フレネルゾーン,第2フレネルゾーン,……と呼ぶ。奇数番目(あるいは偶数番目)のフレネルゾーンを通る電波はそれぞれ強め合うが,奇数番目と偶数番目相互間は打ち消し合う。
執筆者:宮川 洋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報