フーナン(湖南)省(読み)フーナン(英語表記)Hunan

翻訳|Hunan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フーナン(湖南)省」の意味・わかりやすい解説

フーナン(湖南)〔省〕
フーナン
Hunan

中国,華中地方,チャン(長)江の南岸にある 1級行政区。略称はシヤン(湘)。8特別市,5地区,1自治州に分かれ,16市 70県,7自治県が含まれる。行政中心地はチャンシャー(長沙)特別市代に湖広省がフーナン省とフーペイ(湖北)省に分かれ,トンティン(洞庭)湖の南にあることから名づけられた。西,南,東の三方山地囲み,北部にリヤンフー(両湖)平原の南部にあたるトンティン湖平原が広がる。平原は大部分が標高 50m以下で,大小の湖沼を網目状の水路が結んでいる。古くから水稲栽培が盛んで,「湖広(リヤンフー平原)熟すれば天下足る」といわれてきた。省の四大河川であるシヤン(湘)江ツー(資)水ユワン(沅)江リー(澧)水がトンティン湖に注いでいる。月平均気温は 1月 3~8℃,7月 27~30℃であるが,盆地の東部にあるチャンシャー市などでは最高気温は 40℃をこえる。年降水量は 1300~1700mmで 4~6月に多く,7~9月は干魃が起こりやすい。食用作物水稲が 80%以上を占め,工芸作物としてはカラムシ,ワタがあり,柑橘類も多い。つばき油と桐油は大量に移出されており,ユワン江沿いのホンチヤン(洪江)市一帯の桐油が著名。チャ(茶)の栽培も盛んで,ラオチン(老青)茶,ヘイ(黒)茶,ホン(紅)茶などの銘茶がある。山地はスギ類の用材を産する。人民共和国成立後,チャン江と結ぶ水路を改修し,トンティン湖の遊水池としての機能を強化するとともに,氾濫を防止するために,堤防を修築し,電力による排水灌漑ステーションを設けた。また流入河川の上流,中流には大小のダムを建設し,流量を調節するとともに灌漑面積を拡大している。地下資源はアンチモンマンガンタングステンなどの非鉄金属が豊富で,シュイコウシャン(水口山)の鉛と亜鉛,ロンシュイチヤン(冷水江)市のアンチモン鉱山が規模が大きい。工業は鉄鋼冶金,機械,紡織などがある。交通では水運が大きな役割を果たすが,チンコワン(京広)鉄道が東部を通り,チューチョウ(株洲)特別市チョーカン(浙贛)鉄道,シヤンチエン(湘黔)鉄道が接続している。面積 21万500km2。人口 6342万(2007推計)。

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