ブレスト(読み)ぶれすと(英語表記)Брест/Brest

デジタル大辞泉 「ブレスト」の意味・読み・例文・類語

ブレスト(Brest)

Brestフランス北西部、ブルターニュ半島先端部にある港湾都市。軍港で、商業港としても重要。
BrestБрэстベラルーシ南西部、ブレスト州の都市。同州の州都。ポーランドとの国境に近く、交通の要地。1319年から1939年までリトアニア領となり、ブレストリトフスクと呼ばれた。第一次大戦末、ロシア革命政権がドイツおよび同盟国との間でブレストリトフスク条約を締結したブレスト要塞があることで知られる。

ブレスト(breast)

胸。胸部。「ブレストサイズを計る」
ブレストストローク」の略。
電話オペレーター(交換手)が使うイヤホンとマイクがセットになった機器。電話、電線工事の連絡にも使う。送受器
[補説]3は、マイクを首から胸に下げることからの名称か。

ブレ‐スト

ブレーンストーミング」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ブレスト」の意味・読み・例文・類語

ブレスト

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [英語] breast ) 胸。また、衣服の胸部。
    1. [初出の実例]「シイ〔彼奴〕は元来二つ返事で、チン〔頤〕でブレスト〔胸〕をたたくやつさ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一二)
  3. ( [英語] breaststroke の略 ) 平泳ぎ
    1. [初出の実例]「緒方はブレストで泳いでみた」(出典:蛇と鳩(1952)〈丹羽文雄〉三)

ブレスト

  1. ( Brjest ) ベラルーシの西部、ポーランドとの国境にある都市。ワルシャワ、モスクワ間の交通の要地にあり、ベラルーシ最古の都市の一つ。旧称ブレストリトフスク。

ブレスト

  1. ( Brest ) フランスの西端、ブルターニュ半島にある港湾都市。軍港であるが商工港としての機能ももつ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ブレスト」の意味・わかりやすい解説

ブレスト
Brest

ベラルーシ共和国の南西部,ポーランドとの国境沿いにある同名州の中心都市。人口30万0124(2004)。11世紀にブーグ川の渡船場につくられた集落に始まる。名前は付近のニレの木,あるいは古代経済で重要な役割を果たしたシラカバの樹皮に由来するといわれる。14世紀にリトアニアの支配下に入り,その後1921年までリトアニアの名をとってブレスト・リトフスクBrest-Litovsk,1921-39年ブレスト・ナド・ブーゴム,39年現名に改称。と呼ばれた。16世紀から18世紀末までと1919年から39年まではポーランド領であった。1830年代に今日も遺跡として残る城塞が築かれた際,現在のムハベツ川とブーグ川の合流点に移った。この町は成立の当初から東欧諸国とキエフ・ロシア,さらに黒海方面を結ぶ通商路の分岐点として知られていたが,現在も基幹的な鉄道と道路が走り,ヨーロッパに通ずる〈門〉として機能している。ここは第1次世界大戦末にソビエト政権がドイツなど4国と講和条約ブレスト・リトフスク条約〉を結んだ所としても有名である。
執筆者:


ブレスト
Brest

フランス北西部のフィニステール県,ブルターニュ半島西端に近い軍港都市。人口14万9495(1999)。軍事上の要衝としてすでに14世紀からイギリス,フランスの間で争われ,17世紀になってコルベールがフランス第1の軍港として整備した。第2次大戦時の1940年6月から44年9月までドイツの潜水艦基地となったため,全市はたび重なる空襲を受けまったくの廃墟となった。戦後近代的都市として再建され,工業港・商業港の機能も加わり,海洋研究の中心地ともなっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブレスト」の意味・わかりやすい解説

ブレスト(ベラルーシ)
ぶれすと
Брест/Brest

ベラルーシ(白ロシア)共和国ブレスト州の州都。ブク川に合流するムハベツ川右岸の隆起した平地に発達した。ポーランド国境に近く、ポーランド側の都市テレスポールと対峙(たいじ)する。人口29万9200(1998)、34万7576(2018推計)。鉄道・道路交通上の要地で河港もあり、軍事上も重要である。第一次世界大戦の対独講和のブレスト・リトフスク条約(1918)締結地として有名。古いスラブ人集落で、1044年から12世紀中葉までキエフ大公国に属したが、その戦略的位置のため1319年リトアニア領となり、その名をとって1939年までブレスト・リトフスクБрест‐Литовск/Brest-Litovskとよばれた。16世紀にポーランド領となるが、1795年以降ロシア領、1919~1939年ふたたびポーランド領。食品工業(食肉、乳製品、製粉、製パン)や家具、縫製の軽工業に加えて、精密機械、照明器具、測定機器などが生産されている。

[山本 茂]


ブレスト(フランス)
ぶれすと
Brest

フランス西部、フィニステール県の港湾都市。人口14万9634(1999)、13万9163(2015センサス)。ブルターニュ半島の先端部、ブレスト湾に面する。ローマ時代からの港で、1342~97年イギリスが占領。ブルターニュ公国の帰趨(きすう)に伴って1532年フランス王領となる。17世紀に軍港となり、J・B・コルベールによって整備され、ボーバンが要塞(ようさい)化した。現在、大西洋岸ではフランス最大の軍港となり、海軍工廠(こうしょう)、兵学校が置かれている。商港としても重要で、イギリスとの貿易が盛ん。後背地が狭く、大都市から隔たっているため工業化が遅れてきた。しかし、鉄道、道路網、空港を整備することにより、火力発電所や電気機械(とくにレーダー、通信機械)、造船、化学、既製服製造などの工業が発達した。大学、ブルターニュ海洋研究所、国立海洋開発研究所が立地するなど、1960~1970年代、人口増加が著しく、とくに周辺の農村部から人口が流入した。第二次世界大戦中、ドイツ軍の潜水艦基地となったため連合国軍の猛爆撃を受け、甚大な被害を受けた。美術館は再建され、17~19世紀絵画のコレクションがある。

[高橋伸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブレスト」の意味・わかりやすい解説

ブレスト
Brest

旧称ブレスト=リトフスク Brest-Litovsk。ベラルーシ南西部,ブレスト州の州都。首都ミンスクの南西約 330km,ブーグ川へ流入するムハベツ川にのぞむ河港都市で,ポーランドとの国境に近い。 1019年の記録に現れ,13世紀初めからリトアニア領,その後長くポーランド領で,1795年にはロシア領となった。交通上の要地であったために戦争のたびに破壊を受けた。第1次世界大戦中の 1917~18年にソ連とドイツ間の単独講和の舞台になった (→ブレスト=リトフスク条約 ) 。また第2次世界大戦中の 41年に,ドイツ軍に包囲されたソ連守備隊が全滅した地としても知られる。食品,織物,家具,機械などの工業が立地する。教育大学,ブレスト要塞博物館がある。モスクワとワルシャワを結ぶ鉄道が通り,空港もある。人口 27万 7000 (1991推計) 。

ブレスト
Brest

フランス西部,ブルターニュ半島,フィニステール県にある港湾都市。ガロ・ローマ時代からの港で,ブルターニュ公国の発祥地。 17世紀以来の伝統をもつ軍港で海軍工廠,ドック施設,潜水艦基地,火力発電所などがある。第1次世界大戦時アメリカとの連絡港となり,第2次世界大戦中はドイツに占領され,大きな戦災を受けた。商港としての活動も盛んで,鉄鋼,石炭,石油,木材などを輸入し,果物,野菜,ウシを輸出する。民間の修理ドックのほかに電子,精密機器,化学などの工業がある。町の西端には3世紀に創建された天守と7つの塔をもつ城がそびえる。海軍兵学校の所在地。人口 14万2097(2008)。

ブレスト

平泳ぎ」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵mini 「ブレスト」の解説

ブレスト

小グループの集団によるアイデア発想法の一つ「ブレインストーミング」の日本における略称。BS法、集団思考、集団発想法、課題抽出とも言われる。米国の広告代理店の副社長だったアレックス・F・オズボーンが1940年頃に考案した。参加者(5~10人程度)は、1つのテーマにつき周知したうえで、実現可能性にこだわらず自由に意見・アイデアを述べ、統一意見や新視点を抽出するための材料を提出する。そのための4原則は「批判厳禁」(結論厳禁)、「自由奔放」(粗雑なアイデア歓迎)、「質より量」(量を重視)、「結合改善」(個々のアイデアの統合発展)。大量かつ思いがけない発想を得るために有効とされる。大量かつ大胆な発想を得るために有効とされる。

(2013-2-27)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

とっさの日本語便利帳 「ブレスト」の解説

ブレスト

ブレーンストーミング(brainstorming)。単なる会議と違い、参加者が自由にアイデアを次々出していくというスタイル。本来のブレストには他人の発言に反論してはいけない、というルールがあるのだが、これがなかなか守られないためしばしば紛糾する。〈活用例〉今日はブレストだから、恥ずかしがらないで積極的に発言してください

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブレストの言及

【ポーランド】より

…30年以降体制はしだいに抑圧的となり,選挙干渉が公然となった。反抗的野党政治家はブジェシチBrześć(現ベラルーシ領ブレスト)の強制収容所に送られた。 経済的にこの期前半はイギリスの炭鉱ストに助けられて石炭の輸出景気を味わったが,後半は世界大恐慌に直撃されて国民所得が1929‐33年に25%も下落し,失業率が33‐35年に40%に達するなど悲惨な状態となった。…

※「ブレスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

配属ガチャ

入社後に配属される勤務地や部署が運次第で当たり外れがあるという状況を、開けてみなければ中身が分からないカプセル玩具やソーシャルゲームで課金アイテムを購入する際のくじに例えた言葉。企業のネガティブな制...

配属ガチャの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android