精選版 日本国語大辞典 「ベックマン」の意味・読み・例文・類語
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ドイツの官房学的な経済学者。ゲッティンゲン大学教授。当初,牧師になろうとしたが数学に長じていたので自然科学の分野に進んだ。同時に古典語を中心に10ヵ国語を習得し,人文・自然科学両方の知識をあわせた独特の研究を行った。彼が活動した時代には,官房経済学がドイツ在来の産業技術を新しく再構成してイギリスの産業革命に対抗しようとしていたので,彼の研究は,まず当時の産業技術を網羅的に列挙する商品学となった。しかし技術の発達が速すぎるため,それに追随することをやめ1780年以降25年にわたり技術史の論文集を書きつづけた。また技術の記述を一般技術学と個別技術学に分け,前者において各産業の個々の技術を分解してその機能(切断,結合など)ごとに分類し,今後新しい技術を開発する際のハンドブックとすべきだという試案を出した。主著には《技術学序説》(1780),《発明の歴史についての論文集》(1780-1805,邦題《西洋事物起原》)などがあり,特に後者は科学史,技術史の古典として高く評価されている。
執筆者:富田 徹男
ドイツの有機化学者。ゾーリンゲンの染物屋の息子として生まれる。1875年ライプチヒ大学でH.コルベ,S.C.マイヤーに学び,78年卒業する。高等技術学校の教職についた後,87年ライプチヒ,91年ギーセン,92年エルランゲン,12年ベルリンの各大学教授を歴任する。1912年よりカイザー・ウィルヘルム研究所の応用化学・薬化学研究所長を務める。1886年,ケトオキシムは酸性でアミドを作用させると急激に反応が生じ,いわゆる〈ベックマン転位〉反応となることを明らかにした。また彼が発明したベックマン温度計は,沸点上昇,凝固点降下の測定を可能にし,有機化合物の分子量測定に広く用いられている。
執筆者:徳元 琴代
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ドイツの化学者.中等教育の後,薬局の徒弟修行をし,そのうちの1年はWiesbadenの有名な分析化学者K.R. Freseniusに師事した.22歳でライプチヒ大学に入学,A.W.H. Kolbe(コルベ)に化学を学び,1878年に学位を取得.1879年ブラウンシュバイク工科大学の助手,1883年ライプチヒ大学講師,1891年ギーセン大学助教授,1892年エルランゲン大学教授,1897年ライプチヒ大学教授に就任した.1912年カイザー・ウィルヘルム協会化学研究所の初代所長となる.1886年,酸触媒のもとにケトキシムがアミドに転位するベックマン転位を発見した.この研究で生じる幾何異性体の分子量測定の必要からベックマン凝固点測定装置を考案し,ベックマン沸点測定装置やベックマン温度計もかれの考案である.ほかに硫黄やセレンの塩化物を研究し,四塩化硫黄を発見した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
(堀内正昭)
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…しかし,これより100年以上前に中国では宋応星が《天工開物》という詳細な技術誌を著していたことは注目されよう。 ヨーロッパで最初の技術史の書物はJ.ベックマンの《発明史》(1780‐1805,邦題《西洋事物起原》)で,個別的に古代からの文献を広く渉猟してまとめた事典である。項目数は多くはないが,歴史的配慮が行き届いており,各国語に訳されてその後の技術史研究の出発点となった。…
※「ベックマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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