日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッテルハイム」の意味・わかりやすい解説
ベッテルハイム(Bernard Jean Bettelheim)
べってるはいむ
Bernard Jean Bettelheim
(1811―1870)
イギリスの宣教師、医者。史料には伯徳令、伯特令と表記される。ハンガリー生まれのユダヤ人。キリスト教に改宗。渡英して帰化したのち、琉球(りゅうきゅう)海軍伝道会(LNM)派遣の宣教師として1846年(弘化3)一家をあげて琉球を訪問した。琉球は当時中国との国交を除き諸外国に対しては鎖国を行っていたため、招かれざる客としての扱いを受けた。一家は琉球側の制止を無視して強行上陸、波上(なみのうえ)の護国寺を居所として以後8年余も滞在した。琉球側の監視、妨害で布教活動は思うように進まなかったが、種痘法を伝えるなど医療の面で大きな功績を残した。また、語学力に優れ、『琉訳聖書』をはじめ『日本語文法要綱』『英琉辞典』を残すなど注目すべき事績をあげている。1854年(安政1)ペリー艦隊に同乗して琉球を去り、アメリカに居住。南北戦争中は北軍の軍医として活躍したが、戦後1870年肺炎がもとで死去した。
[高良倉吉 2018年2月16日]