北緯10°以北のインド洋のうち,インド半島の東方に広がる海域。東限はミャンマーのアラカン海岸からアンダマン諸島を結ぶ線で,東西幅の最大は約1300km。したがって湾とは名ばかりで,〈海〉と呼ぶにふさわしい広さと深さ(水深2000~4000m)とを有し,島はない。湾奥にあたる北端はガンガー(ガンジス)川の三角州によって埋没され,さらにその前面170kmまで大陸棚が横たわる。また,半島部の海岸にもマハナディ,ゴーダーバリー,クリシュナー,カーベーリなどの三角州が並ぶ。9~10月のころ湾上に発生するサイクロンは西進または北西進して,半島部やガンガー川三角州に風水害や高潮災害をもたらす。しかし,湾上を吹きわたる南西および北東モンスーンは広大なインド亜大陸に恵みの雨をもたらす役割を担っており,この湾がインドに与えるプラスの面は計り知れないほど大きい。アラビア海と同じく,古くから海上交易が盛んに行われ,コルカタ(旧カルカッタ),チェンナイ(旧マドラス)をはじめ現在も湾岸に多数の港が立地している。
執筆者:藤原 健蔵
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インド洋北東部にある大湾。東はミャンマー(ビルマ)とインド領のアンダマン諸島、ニコバル諸島、北はバングラデシュ、西はインドに囲まれ、南西端にセイロン島が位置する。面積220万平方キロメートル。海底は比較的単調で、東部に東経九十度海嶺(かいれい)が南北に直線的な高まりをつくるほかは、ガンジス深海扇状地とよばれる深さ1500~4000メートルの平坦(へいたん)面が広がる。湾奥のガンジス・デルタの沖では100メートル等深線が220キロメートルほど張り出し、かつての陸上水系が沈降した沈水谷がみられる。夏には熱帯低気圧が多く発生し、北東部の沿岸はしばしば被害を受ける。古くから海上貿易が盛んで、湾岸にはインドのコルカタ(カルカッタ)、チェンナイ(マドラス)、バングラデシュのチッタゴンなどの港がある。
[中田 高]
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…面積7491万7000km2,容積2億9194万5000km3,平均水深3897m,最大水深7437mである。付属海は北辺沿いに発達し,西から東へ紅海,アデン湾,ペルシア湾,アラビア海,ベンガル湾とつらなり,ジャワとオーストラリアの間にはチモール海とアラフラ海がある。インド洋中には世界第4の大島マダガスカル島やセイロン島をはじめ,特に西部に島嶼が散在するが,島の数は少ない。…
※「ベンガル湾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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