チッタゴン(読み)ちったごん(英語表記)Chittagong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン
Chittagong

ベンガル語ではチョトラグラム Chotragram (「16の村」の意) 。バングラデシュ南東部,カルナフリ川河口にのぞむ港湾都市。チッタゴン州の州都。チッタゴン県の行政庁所在地。 10世紀からアラブ水兵に知られ,のちポルトガル人がポルトグランデと呼んだ。 14世紀イスラム教徒が征服,1666年ムガル帝国のベンガル地方のナワーブの支配下に入った。 1760年からはイギリス東インド会社が支配,インドのアッサム地方開発の拠点となり,重要港として発展。 1947年のパキスタン独立以後さらに発展したが,71年のバングラデシュ独立戦争で荒廃,修復は 73年までかかった。現在はジュート,茶を主要輸出品とする同国の貿易港として繁栄。工業も盛んで,製鋼肥料,化学,紡績,ジュート加工,製油などの工業地帯がある。チッタゴン大学,国際空港もある。人口 136万 3998,大都市圏 204万 663 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チッタゴン」の意味・わかりやすい解説

チッタゴン
ちったごん
Chittagong

バングラデシュ南東部にある同国最大の港湾都市。チッタゴン県の県都。カルナフリ川河口より12キロメートル上流の右岸に位置する。人口259万2400(2003推計)。地名はベンガル語で「16の村」という意味で、もとは漁村であったが、イギリス植民地時代にジュートや紅茶の積出し港として発展した。1960年以後、市の郊外に鉄鋼レーヨン、紡績、医薬品などの工場が建設され、バングラデシュ第二の工業地帯を形成している。市の中心部には植民地時代の古い建物が建ち並び、丘陵地帯には行政機関が集中する。またチッタゴン総合大学や高等裁判所があり、空港は首都ダッカに次ぐ国際空港である。この地方はベンガル文化とミャンマービルマ)のアラカン文化との接点で、特殊な方言が使われ、北方山岳地帯にはアジア系のチャクマ人、バルア人などの仏教徒が住む。

桐生 稔]

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