ペチュニア(英語表記)Petunia hybrida Vilm.

デジタル大辞泉 「ペチュニア」の意味・読み・例文・類語

ペチュニア(〈ラテン〉Petunia)

ナス科一年草。葉は柔らかく卵形で、対生する。夏、漏斗形の花が咲き、色は紫・紅・桃・白色や絞りなど多彩。アルゼンチン原産種類から改良されたもので、観賞用。つくばねあさがお。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「ペチュニア」の意味・読み・例文・類語

ペチュニア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] petunia ) =つくばねあさがお(衝羽根朝顔)季語・夏 》
    1. [初出の実例]「松葉菊、王不留行、ベチュニヤなど」(出典:花は勁し(1937)〈岡本かの子〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア
Petunia hybrida Vilm.

花壇や鉢植えで夏から秋までの長い間,白,赤,紫などの美しい花を咲かせるナス科の多年草であるが,一般には秋まきまたは春まき一年草として栽培される。ツクバネアサガオの名もある。ツクバネアサガオPetuniaブラジルやアルゼンチンに25種以上もあるが,それらのなかのP.violacea Lindl.とP.axillaris BSP.を親とした種間交配によって1830年代に育成されたものが,現在のペチュニアの園芸品種の基本となっている。改良種の系統は多いが,大別すると一重咲きでは大輪,中小輪があり,特殊系統のものに八重咲種,波状弁巨大輪種,匍匐(ほふく)性種などがある。葉は卵円形,茎葉,萼などに腺毛がある。花冠は漏斗形,5裂し,果実は蒴果(さくか)で,熟せば縦に裂けて微細な種子が多数こぼれる。ペチュニアの改良は世界各国ともに盛んであるが,とくに八重咲種ではまいた種子が全部八重咲きになるオールダブルが日本,アメリカ,カナダで発達し,遺伝学の応用で100%八重咲きに咲くものがつくられている。波状弁巨大輪種は花弁に網状の脈が著しくあらわれて,花径は10cmに及ぶ。花色の改良も注目に値し,花の周辺が白覆輪となるピコティ系,放射状に異色の彩りのある二色咲系などがあり,最近は黄色花も現れている。ペチュニアは比較的寒さに強いので,種を秋にまきフレームで越冬させ,春早く開花させる方法がとられているが,寒地では春まきとする。発芽温度は25℃,長日状態で花芽分化する。ツクバネアサガオ属はタバコ属に近縁で,属間雑種もあり,ウイルス病に侵されやすいので,被害植物は焼却するのがよい。繁殖は種子によるが,多数の固定品種にはF1(雑種第1代)種も多く,挿芽繁殖も行われる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア
ぺちゅにあ
[学] Petunia

ナス科(APG分類:ナス科)の半耐寒性一年草または多年草。南アメリカ、メキシコ、北アメリカ南部に40種分布する。和名のツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)は園芸交雑種P. × hybrida Vilm.-Andr.につけられたもの。現在の園芸品種はアルゼンチン産で白花のアクシッラリスP. axillaris B.S.P.と濃紫色花のビオラケアP. violacea Lindl.との種間雑種を育成したのに始まる。以来、多彩な品種が育成された。変異が大きく、草丈20センチメートルの矮性(わいせい)種から40センチメートルを超す高性(こうせい)種まである。花形はアサガオに似た漏斗(ろうと)形で、花弁の縁(へり)が平らな平弁と、波打つ波状弁とがあり、一重のほかに八重咲きもある。花径は3センチメートルの小輪から13センチメートルの巨大輪まで変化が大きい。花色は白、緋赤(ひせき)、青紫、淡黄などの単色と、赤・桃・紫に白が混じる絞り咲き、星模様の星咲き、白覆輪、淡色地に紫や紫紅色の網目模様の入るものなどがあり、多彩である。

[植村猶行 2021年7月16日]

栽培

種子はサクラの花の終わるころに播(ま)く。種子はごく小さいもので、厚播きにならないようにし、覆土はしない。双葉が完全に開いたら3~4センチメートル間隔で移植箱に移す。本葉が6、7枚になったら、花壇なら25~30センチメートル間隔に、鉢なら3、4号鉢に1株ずつ定植する。花壇は日当りと水はけのよい場所を選び、肥料は十分に与える。連作障害が出やすいので、毎年植え場所をかえる。また他のナス科植物との連作も避けたほうがよい。

[植村猶行 2021年7月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア
Petunia hybrida; common garden petunia

ナス科の一年草。本来は属の名であるが,通常はこの属のうちアルゼンチン原産の P. axillarisP. violaceaとを交配してつくった園芸品の総称として使われる。同じく総称としてツクバネアサガオの和名もあるが,現在ではあまり使われない。したがって植物体の大きさ,葉や花の形態や色などは非常に変化が多い。共通の特徴は次のようである。茎は直立し多くの枝を出すが,ときにつる状になり,葉とともに粘りけのある細毛を密生する。葉は対生し卵形で,下部のものは葉柄をもつ。夏に,葉腋から花柄を伸ばし漏斗状のアサガオに似た花をつける。花色は紫,紅,桃,白など変化があり,絞りや斑紋があるもの,八重咲きなどもある。和名は花形により,属名はブラジル語のタバコの意からつけられた。

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百科事典マイペディア 「ペチュニア」の意味・わかりやすい解説

ペチュニア

ツクバネアサガオとも。アルゼンチンやブラジルなどに原産する数種の交雑により生まれた園芸種。ナス科の一年草で,春まきでは夏〜秋,秋まきではフレームで越冬させ春に開花し,花壇,鉢植にされる。花冠は漏斗(ろうと)状のものが多いが,改良が進んでいて変化が多く,花形も一重・八重の大・小輪,花色も濃淡の紫・紅・赤・白の単色あるいは複色の咲分けや絞りがある。さし芽でもふやす。

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