ペルソナ(読み)ぺるそな(英語表記)persona

翻訳|persona

デジタル大辞泉 「ペルソナ」の意味・読み・例文・類語

ペルソナ(〈ラテン〉persona)

《「ペルソーナ」とも。仮面・役柄の意》
人。人格。
キリスト教で、三位一体論に用いられる概念。本質において唯一の神が父と子と聖霊という三つの存在様式をもつことを意味する。位格。位。格身。→三位一体
劇・小説などの登場人物。また、文学作品の語り手
心理学で、外界へ適応するために必要な、社会的・表面的人格。
美術で、人体・人体像。
商品開発の際に設定する架空の人格。名前・年齢・性別・趣味・住所などから始め、細部に至る人物像を作りだし、その人格に感情移入することで、ユーザビリティーに優れた製品・商品の開発に結びつける。

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精選版 日本国語大辞典 「ペルソナ」の意味・読み・例文・類語

ペルソナ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] persona 「仮面・人格」の意 )
  2. キリシタン用語。神の存在様式。三位一体の位。位格。身位。
    1. [初出の実例]「尊き三のぺるそうな、御一体にて在ますちりんだあての御事は」(出典:ぎやどぺかどる(1599)上)
  3. 美術で、人体、人体像をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペルソナ」の意味・わかりやすい解説

ペルソナ
persona

元来,舞台上で俳優のつける仮面を意味するラテン語。そこから劇中の役柄,登場人物という,今日でも西欧近代語の中に演劇用語として取り入れられている意味が生じ,さらに法人格を含めた役割・行為の主体としての人・人格という西欧近代語のperson(英語),Person(ドイツ語),personne(フランス語)等に通じる意味が派生した。ペルソナの語は,また一方で,キリスト教神学に取り入れられて,主として神の〈位格〉という意味を帯び,この用法では,今日でも原語のままで使われることが多い。キリスト教神学におけるペルソナは,それ自体で完結し理性的本性をもつ個的な実体というように定義される。すなわち,それは,たんなる類,種などの普遍的集合的なものでなく具体的個的なものであり,しかも非理性的受動的で自己意識も帰責能力ももたぬ動植物とちがって,理性的かつ他のものに依存することのない完全な自発性をそなえたものと考えられるのである。ここで注意すべきは,このように自己完結性がいわれながら,なおキリスト教の神は,父と子と聖霊という三つの位格をもつとされることであり,ある意味では,ペルソナの語が元来もつ劇的かつ動的な性格,他者との不可分な具体的かかわりにおいて自己であるという性格が,期せずして絶対者の理解に移し入れられているとも見られることである。もとよりキリスト教神学においては,おなじペルソナの語でも神と人とに適用されるに応じてその意味を異にすることに繰り返し注意がうながされてはいる。それでもなお,人を神の似姿とし,いわば三つのペルソナをはらんだ神からの具体的な呼びかけに,心身をあげて答えるところにペルソナとしての人の究極のあり方を見るという,ペルソナの概念に媒介され集約される幾重にも劇的構造をはらんだ人間と絶対者のかかわりの考え方が,西欧における人間理解の一つの原型を定めていることは否定できない。近世のルソーやカントによって完成された人権や人格性の概念も,この伝統の延長上において理解されるべきものなのである。

 以上からあきらかなように,ペルソナは,元来,(1)日本語の〈ひと〉が他人と同時に人間一般を意味するのに似て,他者との関係をみずからのうちに含みこんではじめて自己であるという,相互主体的ないし間身体的な人間存在の基本構造を示し,(2)しかも,心身の差異をはらみながら,いわばその内から能動的な統一力によって完結せしめられた個体であることによって,現代のストローソンにいたるまで,〈個体〉把握の一つの典型を提供し,(3)さらに,理性的な責任主体ないし応答主体としての人間のあり方を宇宙全体さらには絶対者との協応関係において示すことによって,宇宙と人間との〈肉〉によるきずなを〈ロゴス〉としての創造的言語活動に関係づけてとらえる現代のメルロー・ポンティにまでいたる西欧の人間観の原型を定めている。
仮面 →三位一体
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルソナ」の意味・わかりやすい解説

ペルソナ
ぺるそな
persona

人格、位格を表すラテン語で、正確な発音はペルソーナ。元来、俳優が頭部にすっぽりかぶる仮面の意。転じて俳優が演ずる役割、役柄、登場人物をさし、さらに人物、個人、性格、人格を意味するに至る。

 とくに古代キリスト教神学は、テルトゥリアヌスTertullianus(160ころ―220ころ)以来、御父と御子と聖霊の三者が一なる神であるとの三一神(三位(さんみ)一体the Trinity)の信仰を説明する場合の術語としてこれを採用した。4世紀に確立した正統的な三一神論によれば、御父、御子、聖霊は共通の本質として神性をもつとともに、それぞれ他から区別される個体性をもつ。すなわち、御父においては、自らは生まれず、御子を生み、聖霊を発出させること、御子においては、御父から生まれること、聖霊においては、御父から発出することがペルソナとしての固有性である。このような意味で三一神の教義は、「三つのペルソナ、一つの本質」tres personae, una substantiaという定式で表現される。この場合ペルソナは、ギリシア語のプロソーポンprosōpon、あるいはヒュポスタシスhypostasisにほぼ対応し、具体的な個別存在を意味している。さらに後代の神学では、ペルソナは神の存在様式modus essendi, Seinsweiseとして説明されたり、近代的な人格観念と結び付けられることがあった。

 日本語では「位格」と訳されるのが普通であるが、「格身」などの訳語もある。

[水垣 渉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルソナ」の意味・わかりやすい解説

ペルソナ
persona; person

位格ともいう。本来の意味は俳優のかぶる仮面。そこから奥にある実体を意味することになり,個的人格 personの意となる。キリスト教神学におけるペルソナ (位格) とは,三位一体論に関して,神の唯一の神性のなかの三つの「私」といえる基体の意であり,客観的に1個のそれ自体で完結している全体,直接神に向ってつくられた唯一のものとして,それ自体で完成した理性的な単一実体 substantiaを意味する。これはテルトゥリアヌスによるとされ,以後この語は西欧神学,哲学において,認識と愛とをそなえた精神的実体の意で用いられた。ユングの心理学では,表に現れた仮面として,社会的なパーソナリティを意味する。

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百科事典マイペディア 「ペルソナ」の意味・わかりやすい解説

ペルソナ

元来,〈仮面〉を意味するラテン語。転じて,役柄・登場人物,さらには行為の主体としての人間・人格の意をもつ英語person,ドイツ語Person,フランス語personneなどのもとになった。キリスト教神学では〈位格〉と訳され,三にして一になる。(三位一体)神のあり方が説かれる。

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デジタル大辞泉プラス 「ペルソナ」の解説

ペルソナ〔ゲーム〕

アトラスが販売するゲームソフトのシリーズ。ロールプレイングゲーム。「真・女神転生」の派生シリーズにあたる。1996年9月にプレイステーション用ソフト「女神異聞録ペルソナ」が発売。シリーズはほかに「ペルソナ2 罪」「ペルソナ3」など。また2009年4月に発売された「女神異聞録ペルソナ」のプレイステーションポータブル移植版のソフト名をいう。

ペルソナ〔自動車〕

マツダが1988年から1992年まで製造、販売していた乗用車。4ドアハードトップ。ユーノス300の姉妹車。

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ブランド用語集 「ペルソナ」の解説

ペルソナ

ペルソナとは仮製品やサービスのユーザー像を仮想の人物として定義したものをいう。実際のユーザーにはさまざまな人が含まれるが、ペルソナではその中で最も重要な人物像に焦点を当てることによって、具体的なユーザー像をイメージしやすくなるメリットがある。

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占い用語集 「ペルソナ」の解説

ペルソナ

ユング(C.G.Jung 1875~1969)が提唱した元型(アーキ・タイプ)の一つ。人が現実生活に対して見せている社交の顔(仮面)のこと。西洋占星術ではアセンダント(Asc)が「ペルソナ」を表す。

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世界大百科事典(旧版)内のペルソナの言及

【仮面】より


[仮面の出現]
 現代人はさまざまな日常生活の状況に応じて〈仮面=人格〉を使い分けるという比喩的な意味で〈仮面〉ということばがよく用いられる。この〈人格〉の語源ペルソナも,エトルリア地方の死者にかぶせるマスクの呼名に由来するといわれる。しかし,具体的なものとして,儀礼や祭りに用いられる仮面の特徴は,日常生活とは異質な状況の中に〈出現〉してくる点にある。…

【性格】より

…心理学ではキャラクターをパーソナリティpersonalityと同義に用いることもある。パーソナリティという語の起源はラテン語のペルソナに由来し,もともとは劇などで使用された仮面を意味していたのが,しだいに変化して俳優の演じる役割を意味するようになり,ついにははっきりした個人的特質,およびそれをもった人の意になった。キャラクターがどちらかというと情緒的,意志的な面での個人差を強調しているのに対してパーソナリティでは行動の統一性という面が重視され,道徳的な価値判断を含んで人格と訳されることが多い。…

※「ペルソナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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