ホッキョクグマ(その他表記)Ursus maritimus; polar bear

共同通信ニュース用語解説 「ホッキョクグマ」の解説

ホッキョクグマ

米アラスカ州やカナダロシア、欧州などの北極圏に生息。地上最大の肉食動物で、大きな雄は体重が650キロにもなる。国際自然保護連合(IUCN)は「絶滅の危険が増大している種」に分類、米国でも絶滅危惧種とされた。米地質調査所(USGS)は2007年、地球温暖化がこのまま進めば今世紀半ばまでに生息数が3分の1に減少するとの推計を発表した。(共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホッキョクグマ」の意味・わかりやすい解説

ホッキョクグマ
Ursus maritimus; polar bear

食肉目クマ科。雄は体長約 2.5m,体重約 800kg,雌は体長約 2m,体重約 300kgに達する。出生体重は約 600g。クマ類のうち最大。毛色白色。夏は日光による酸化のために黄色みを帯びる。毛の長さは下毛 5cm,上毛 15cm。長い毛と厚い脂肪層で冷たい外気を遮断する。門歯上顎下顎に各6本,犬歯は上顎と下顎に各2本,前臼歯は上顎と下顎に各4~8本,臼歯は上顎4本,下顎6本である。頭部が長く伸び,前肢が大きく,遊泳に適した体型である。通常は単独で行動するが,3~6月の交尾期にかぎり,雌雄が行動をともにする。巣穴は出産用 (冬眠用) のものと,暑さを避けるための夏用のものとがある。出産時期は 11月~1月で妊娠期間は 195~265日。1産1~4仔である。出生直後,仔は目がみえない。巣穴から出る3~4月には仔の体重が 10~15kgに達する。性成熟は5~6歳。 21歳の雌が出産した例が知られている。おもにアザラシ魚類を捕食するが,他の海生哺乳類,海鳥,シカや小型哺乳類のほかイチゴなどの植物も食べる。分布は北極圏沿岸,ユーラシア大陸の流氷水域ならびにアメリカ北部である。南限は流氷の動態により変化する。北緯 88゜からプリビロフ諸島ニューファンドランド島グリーンランド南端,アイスランド南部まで生息する。ジェームズ湾ハドソン湾の個体群には生体隔離がみられる。沿岸より数百 km離れた流氷上から内陸 200kmの奥部まで,移動する範囲は広い。飼育下での繁殖例は多い。絶滅危惧種。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホッキョクグマ」の意味・わかりやすい解説

ホッキョクグマ (北極熊)
Polar bear
Thalarctos maritimus

北極圏にすむ全身白色の,半ば水生の大型のクマ。食肉目クマ科の哺乳類。シロクマともいう。おもにパックアイスをすみ場所とし,陸上ばかりでなく,しばしば海中で獲物を襲うことから海獣とみなされることがある。体長200~250cm,肩高160cmまで,尾長7.6~12.7cm,体重150~800kg。クマ類としては頸(くび)が長く,頭部は小さい。前足は大きく泳ぎに適する。体色は,黄色みのかかったクリーム色のことがあるが,これは換毛直後には純白であったものが,太陽光で酸化,着色したものと考えられる。北は北緯88°から,南はプリビロフ諸島,グリーンランド,アイスランド南端までに分布。ハドソン湾南部にもすむ。ふつう単独でくらし,おもにアザラシ類,魚,海鳥,トナカイなどを捕食するほか,果実,海草なども食べる。4~5月に交尾し,雌は195~265日の妊娠期間の後,11~1月にふつう2子を雪洞中で生む。誕生時の子は,体重600g程度。3~4月に雪洞をでるころには15kg前後になる。寿命は25~30年。

 毛皮が高価なことから20世紀に入って大量に狩られ,絶滅の恐れが出てきたため,1972-73年ころより,アメリカ,ソ連,カナダ,デンマークなどが禁猟措置を取っている。
クマ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホッキョクグマ」の意味・わかりやすい解説

ホッキョクグマ
ほっきょくぐま / 北極熊
polar bear
[学] Thalarctos maritimus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目クマ科の動物。北極圏、グリーンランド、アイスランドの海岸沿いに生息する。ときに流氷にのって遠くまでくることがあり、日本でも北海道の根室(ねむろ)まできたことがあるという。頭胴長2.4メートル、体重750キログラムに達する。他のクマに比べて頸(くび)が長く、頭が比較的小さく、体が長い。足はとくに大きい。毛はクリーム色を帯びる白なのでシロクマともよばれる。幼獣ではより白くきれいであるが、しだいに黄みを帯びてくる。交尾期以外は単独で生活し、泳ぎ、潜水がうまい。サケ、タラなどの魚類、アザラシなどを好んで食べる。冬ごもりはしないが、雌は雪の中に穴を掘り、1~2子を産む。エスキモーが毛皮をとるために狩猟する。

 なお、ヒグマ、ツキノワグマにもアルビノ(白化型)が出るので、シロクマという名を用いることはそれらとの混乱を招くので好ましくない。

[渡辺弘之]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「ホッキョクグマ」の解説

ホッキョクグマ
学名:Ursus maritimus

種名 / ホッキョクグマ
別名 / シロクマ
科名 / クマ科
解説 / きびしい寒さと氷の海に入る生活に適応した、大きな体、あつい毛皮が特ちょうです。
体長 / オス2.5~3m、メス2~2.5m
体重 / オス350~800kg、メス175~300kg
食物 / 主にアザラシ。ほかにセイウチ、海鳥など
分布 / 北極圏の沿岸地帯
絶滅危惧種 / ☆

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百科事典マイペディア 「ホッキョクグマ」の意味・わかりやすい解説

ホッキョクグマ

シロクマとも。食肉目クマ科の哺乳(ほにゅう)類。体長はオス2.5〜3.0m,メス2〜2.5m。鼻先が黒いほかは,全身白色。北極地方に分布。海岸や,沿岸のツンドラ地帯にすみ泳ぎがうまい。おもにアザラシ,セイウチの子,魚などを食べ,クマ類中最も肉食の傾向が強い。1腹1〜2子。
→関連項目クマ(熊)

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世界大百科事典(旧版)内のホッキョクグマの言及

【クマ(熊)】より

…つめは樹皮を引き裂いたり穴を掘るのに使われる。ホッキョクグマを除き,足の裏には毛がなく,すべての指と足の裏全面を地につけて歩く蹠行(しよこう)性である。他の大部分の食肉類と異なり,臼歯(きゆうし)は幅広く扁平で植物食に適する。…

※「ホッキョクグマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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