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ボコ・ハラム ぼこ・はらむ

知恵蔵の解説

ボコ・ハラム

ナイジェリア北部に拠点を置くイスラム過激派組織。「ボコ」は現地ハウサ語で「西洋式教育」の意味、「ハラム」はアラビア語の借用で、イスラム教の「禁忌・罪」を意味する。2002年、モハメド・ユスフがチャドやニジェールに近い北東部の都市マイドゥグリで結成、ナイジェリアの「タリバン」と自称した。別称は「宣教及びジハード(聖戦)を手にしたスンニ派イスラム教徒としてふさわしき者たち」。
創設者のユスフは09年7月に殺害されたが、1年後(10年7月)にアブバカル・シェカウが新しい指導者になると、暴力による破壊行動を激化させ、警察署・刑務所・国連施設やキリスト教系施設への襲撃、爆破テロを繰り返した。また「ボコ・ハラム」の過激なイスラム復興主義に反対するモスクやイスラム神学校も襲撃している。
12年には、テロ行為への取り締まりを強化したジョナサン政権の打倒を宣言。14年4月には、北東部ポルノ州の学校から250人以上の女子学生を拉致、「強制結婚させるか、奴隷として売り飛ばす」という脅迫映像を流し、世界中に大きな衝撃を与えた。この女学生拉致事件の翌5月には、国連安保理の制裁委員会が「アル・カイーダ」関連のテロ組織と指定し、資産凍結や武器・資金の提供などを禁止する制裁対象リストに加えた。
西洋型の民主主義やキリスト教を否定し、シャリア(イスラム法)に基づくイスラム国家を樹立するのが目的とされ、隣国ニジェールにも勢力を広げる「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ組織(AQIM)」との連携も指摘されているが、根底には南北間の経済格差、すなわち経済発展から取り残された北部ハウサ人の南部(中央政府)に対する強い不満があると見られる。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2014年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ボコ・ハラム

西洋の価値観を否定するイスラム武装勢力。現地語で「西洋の教育は罪」を意味する。02年にナイジェリア北東部マイドゥグリで設立。政府施設やキリスト教会、学校、病院、一般民家などを襲撃している。過激派組織「イスラム国」(IS)にも忠誠を誓ったとされる。

(2018-04-03 朝日新聞 朝刊 2外報)

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百科事典マイペディアの解説

ボコ・ハラム

ナイジェリアのイスラム過激派組織。正式名称は〈宣教及びジハードを手にしたスンニ派イスラム教徒としてふさわしき者たち〉。ボコ・ハラムとは〈西洋の教育は罪〉を意味する。西洋の教育のみならず西洋文明全体を敵視している。ナイジェリアのタリバーンともいわれ,2002年にナイジェリア北部各州に厳格なイスラム法による統治の導入を目指して結成され,武装闘争を展開,その過程でチャドなどから民兵を吸収,アル・カーイダと連携して組織を拡大した。創設者はモハメド・ユスフといわれている。2013年ナイジェリアのジョナサン大統領は,ボコ・ハラムの攻撃は〈テロリストの反乱〉であるとして非常事態宣言を発令した。アメリカ政府は,ボコ・ハラムとアンサルというボコ・ハラムの派生組織をテロ組織に指定した。ボコ・ハラムは主として学校,大学をターゲットに襲撃事件を繰り返し,2014年4月にはボルノ州の学生寮を襲撃し女子生徒240人を拉致。女子生徒らを〈奴隷として売り飛ばす〉との犯行声明とビデオ映像を公開し,世界に衝撃を与えた。ジョナサン大統領は,ボコ・ハラムに対し対テロ全面戦争を行う決意を表明したが,10月にはナイジェリア政府がボコ・ハラムとの間で,停戦と拉致された女子生徒を解放する合意成立と発表した。しかし,戦闘は継続し女子生徒も解放されなかった。その時の指導者であるアブバカル・シェカウは,既に女子生徒はイスラム教に改宗した上で結婚させたと発表している。その後も襲撃,虐殺,自爆テロを繰り返し,2015年にはISに忠誠を誓って連携する動きを見せ,アフリカ諸国のみならず国際社会全体の大きな脅威となりつつある。
→関連項目ナイジェリア

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デジタル大辞泉プラスの解説

ボコ・ハラム

《Boko Haram》2002年頃設立とされるナイジェリアのスンニ派イスラム過激組織。ボコは現地ハウサ語で「西洋式教育」、ハラムはアラビア語で「禁忌」を意味し、キリスト教や西洋式の教育・文化の否定と、ナイジェリア政府の打倒、イスラム法施行などを主張する。「ナイジェリアのタリバン」を自称し、キリスト教徒や関連施設への襲撃、同組織に批判的なイスラム神学校などへの攻撃のほか、ナイジェリア女子生徒拉致事件(2014年、200人以上が行方不明)をはじめとする大規模な誘拐事件や住民虐殺を実行。2014年8月には、実効支配している北東部でのカリフ制国家の樹立を一方的に宣言している(国際的には未承認)。

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知恵蔵miniの解説

ボコ・ハラム

ナイジェリア国内を主な活動地域とするイスラム過激派組織。「ボコ・ハラム」とは同国の現地語で「西洋の教育は罪」の意。別称は「宣教及びジハードを手にしたスンニ派イスラム教徒としてふさわしき者たち」。数百人のメンバーを擁するとされる。2002年にモハメド・ユスフによって結成されて以来、キリスト教、西洋式教育などの西洋文化や民主主義の否定、ナイジェリア政府の打倒やイスラム法施行を主張し、数々のテロを引き起こしている。09年にユスフが警察に射殺されると、10年にアブバカル・シェカウが新指導者に就任。以来、同組織の活動はより過激化し、14年にはナイジェリア北部で大規模な女子生徒拉致事件を引き起こして国際的な批判を浴びている。

(2014-5-15)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ボコ・ハラム
Boko Haram

ナイジェリアを拠点とする,スンニー派イスラムの攘夷主義運動。2002年にナイジェリア北部で,「西洋の教育は罪」の意の現地語を冠して創設され,土着色が強い。別称「宣教及びジハードを手にしたスンニー派イスラム教徒としてふさわしき者たち」Jamā`at Ahl al-Sunna lil-Da`awah wa al-Jihād。2009年頃からその戦闘性がきわだち始め,政府軍や州警察との武力衝突が拡大していった。北部での勢力伸長の背景には,キリスト教徒の多い裕福な南部諸州との経済格差に対する強い忿懣がある。隷下の実力部隊は基本的に移動を常としてゲリラ戦を展開し,制圧地域には厳格なイスラム法の適用を強制する。襲撃目標にはキリスト教徒居住地域の学校や病院を選ぶことが多かったが,2011年以降,攻撃の対象はより幅広くなり,政治家や宗教指導者,治安部隊,民間施設なども頻繁にねらわれるようになった。南西部の都市ラゴスで警察本部や国際連合事務所が自爆テロの標的とされるなど,ボコ・ハラムのゲリラ活動が猖獗をきわめるにいたって,グッドラック・ジョナサン大統領は 2013年5月,北部 3州に非常事態宣言を発令,対決姿勢を強めた。2013年11月,アメリカ合衆国はボコ・ハラムを「外国テロ組織」に指定した。2014年4月,北部ボルノ州チボクの女学校を襲撃して 300人内外の女生徒を拉致した事件で国際的な注目を浴びたが,この運動の指導者や統制系統には多々疑義が残り,交渉相手が判然としないこともあって解決をみていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ボコ・ハラム
ぼこはらむ
Boko Haram

ナイジェリアを拠点とするイスラム過激派。ボコは現地ハウサ語で「西洋式の教育」、ハラムはアラビア語で「罪」「禁忌」の意味で、「西洋式教育は罪」を意味する名称である。別称は「宣教及びジハードを手にしたスンニー派イスラム教徒としてふさわしき者たちJama'atu Ahlu-Sunna Lidda'awati Wal-Jihad」で、「ナイジェリアのタリバン」と自称している。厳格なイスラム法の施行と西洋式教育の否定などを標榜(ひょうぼう)してナイジェリア政府打倒を掲げ、政府施設、軍施設、警察署、刑務所、国連施設、西洋式教育を行う学校、酒場、キリスト教施設などへの襲撃、爆破、暗殺、誘拐などのテロ攻撃を繰り返している。ボコ・ハラムに批判的なイスラム指導者、モスクやイスラム神学校などを攻撃することもある。2014年4月には、ナイジェリア北部ボルノ州で学校を襲撃して女子生徒200人以上を拉致(らち)、誘拐し、「強制結婚させるか、奴隷として売り飛ばす」などといった脅迫ビデオ映像を公開して世界的な非難を浴びた。
 1990年代に設立されたイスラム教学習グループが前身組織とされ、2002年ごろに同グループの分派組織としてナイジェリア北部で結成された。創設者のモハメド・ユスフMohammed Yusuf(1970―2009)はナイジェリア治安当局に拘束され、2009年に殺害された。その後、2010年にアブバカル・シェカウAbubakar Shekau(1969― )が指導者の地位について以来、テロ活動が過激化している。メンバーは数百人規模とされるが正確な人数は不明で、ナイジェリア国内のイスラム武装勢力による緩やかな連合体とみられている。欧米などに隠れているイスラム過激派支持者からの資金や誘拐の身代金などが資金源とされる。
 2012年以降、ナイジェリア政府が掃討作戦を強化したが、貧困層の若者らにイスラム原理主義思想を植えつけて増殖するボコ・ハラムに対する鎮圧の有効な手だては講じられていない。アメリカ政府は2013年11月にボコ・ハラムをテロ組織に指定。また、国連安全保障理事会の国際テロ組織アルカイダに対する制裁委員会は、2014年5月にボコ・ハラムを資産凍結や武器・資金提供を禁止する制裁対象リストに加えた。アルジェリアを中心に活動するイスラム過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」とも武器供与や武装訓練などで関連があるとされ、隣国カメルーン、チャド、ニジェールなどにも勢力を広げている。ボコ・ハラムがテロ活動を繰り返す背景には、ナイジェリア北部にイスラム教徒、同国南部にキリスト教徒が多く住むという宗教上の問題のほか、ナイジェリア北部の経済発展が南部に比べ遅れているという南北格差問題があるとされる。[編集部]

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