ボックス

精選版 日本国語大辞典 「ボックス」の意味・読み・例文・類語

ボックス

〘名〙 (box)
① 箱。箱形のもの。
メサ使徒(1950)〈武田泰淳〉「十字路の中央には、黄色に黒い斜線の入ったボックスが置かれてゐる」
② 箱状に仕切った一区画内。また、そこに設けた席。
※日本脱出記(1923)〈大杉栄入獄から追放まで「十四五人の被告がボックスの中に待ってゐる間に、傍聴人がぞろぞろと詰めかけて」
劇場などの仕切り席。枡(ます)席。枡。
※演劇改良意見(1886)〈末松謙澄〉「西洋にては桟敷は、隣りより隣りの見えぬ様ボックスの拵へで出来て居ます」
④ バー、キャバレー喫茶店などで、椅子を箱型に並べた席。カウンターに対していう。
※つゆのあとさき(1931)〈永井荷風〉二「壁際には衝立裏表に腰掛と卓子とをつけたやうなボックスとか云ふものが据え並べてあって」
野球で、バッターボックス。または、コーチャーズボックス
※東京日日新聞‐明治三九年(1906)四月一六日「投手桜井と早稲田の第一打手としてボックスに立てる押川に注いだ」
浅草(1931)〈サトウハチロー〉僕の浅草「千代田館のボックスの中で、ポロンポロンとピアノを弾いてゐる彼を」
⑦ 箱をたてた型の小さな建造物。「電話ボックス」「ポリスボックス」などの類。
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉一「近所の自動電話のボックスに」
⑧ 「ボックスコート」の略。
ダンスで基本的なステップの一つ。四角形を描くようなかたちに足を運ぶもの。
※野狐(1949)〈田中英光〉「トロットのボックスを踏んでいればよい怪しいダンス」
⑩ 子牛の皮をもんだなめし皮。薄質でやわらかい。
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「ボックスの上等な編上靴だった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「ボックス」の意味・読み・例文・類語

ボックス(box)

箱。「ギフトボックス
劇場・喫茶店などの、仕切り席。「ボックスシート」
公衆電話・交番など、箱型の小さな建物。「電話ボックス
野球で、打者やコーチャーの立つ定位置。「コーチャーズボックス
《box calfの略》子牛のなめし革。靴などに用いる。
ダンスで、四角形を描くように足を運ぶステップ。
[類語]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のボックスの言及

【箱】より

…その装飾法は漆工芸では蒔絵,漆絵,木画(もくが),平文(ひようもん),螺鈿など,金工では毛彫,透彫(すかしぼり),象嵌など,またそれらを組み合わせた多様な手法が駆使されている。厨子【郷家 忠臣】
[西洋]
 ボックスboxという語は本来は薬,軟膏,化粧品,貴重品などを収納する,木,石,象牙,金属などで作られた小型容器で蓋つきのものを意味していたが,18世紀初期から商品や個人が所持するいろいろなものを収納するための大型容器をも指すようになった。箱は家具のなかで歴史の最も古いものの一つで,チェスト(),棺coffin,金庫・貴重品箱coffer,旅行用トランクなどが含まれる。…

※「ボックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android