ボーデン(英語表記)Robert Laird Borden

デジタル大辞泉 「ボーデン」の意味・読み・例文・類語

ボーデン(Boden)

スウェーデン北東部の都市。ルーレオ北西約30キロメートル、ルーレ川沿いに位置する。19世末に鉄道が開通し、交通要地となった。20世紀初頭にロシアに対する防備のため、ボーデン要塞が建設された。現在、同国最大の陸軍駐屯地が置かれる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ボーデン」の意味・わかりやすい解説

ボーデン
Robert Laird Borden
生没年:1854-1937

カナダの政治家。保守党に所属。ノバ・スコシアに生まれ,弁護士を経て1896年連邦議会下院に選出されて政界に入る。1901年C.タッパーの後を継いで保守党党首となり,11年の総選挙では自由党失政に助けられた形で保守党が政権を掌握し,首相に就任。ボーデンの統治は第1次世界大戦への対応という形で展開された。戦時処置法の可決により内閣には非常時に際し強権発動が認められ,莫大な負債に苦しんでいた民間鉄道の国営化がはかられた。大戦の進行につれ,志願兵制度ではイギリス帝国が必要とする兵員の確保は難しく,17年5月,ボーデンは議会に徴兵制の導入を提議ケベック州の反対を押し切るために保守党,自由党の連合内閣を形成して徴兵を実現したが,自由党党首で前首相W.ローリエの承認を得ることはできなかった。兵員,物資の補給でイギリスの戦争遂行を支援したカナダは,それをてこにボーデンの時代に国際的な地位を上昇させたことが注目される。イギリス帝国戦時会議,戦時内閣の一員であった彼は,カナダの発言力強化に尽力し,講和条約調印,国際連盟創設にはイギリスと対等の立場で参加した。また国内では兵役に従事する者の家族への参政権という形で婦人参政権が部分的に実現するが,これは拡大されて18年,連邦段階での婦人参政権に結実した。20年病身を理由に政界を退くが,21年から22年のワシントン会議にカナダを代表するなど,政界への影響力を保ち続けた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーデン」の意味・わかりやすい解説

ボーデン
Borden, Robert Laird

[生]1854.6.26. ノバスコシア,グランプレ
[没]1937.6.10. オタワ
カナダの政治家。首相 (在任 1911~20) 。 1878年に弁護士となり,96年連邦下院議員に選出されて政界に入る。保守党に属し,1901年に C.タッパーを継いで保守党党首となる。 11年の総選挙で保守党が勝利を収め首相に就任。第1次世界大戦中は徴兵問題でフランス系カナダの人々と激しく対立したが,自由党と連立内閣を組んで切抜け,イギリスとも密接に連携し,戦後におけるカナダの国際的地位の向上を導いた。その結果,ベルサイユ会議においてカナダは代表権を得,ボーデンが代表として出席した。病身のため 20年に首相の座を退いたが,その後もワシントン会議にイギリス代表団の一員として出席するなど,カナダ政界の長老として活躍した。

ボーデン
Borden, Inc.

かつて存在したアメリカ合衆国の総合食品メーカー。1857年ニューヨーク・コンデンスド・ミルクとして設立され,乳製品を主製品として成長,1919年ボーデンに社名変更した。その後多くの会社を合併,第2次世界大戦後は一層広範な多角化を進めて清涼飲料,スナック食品,食肉加工品,砂糖などの分野へ進出し,総合食品メーカーに脱皮。さらに食品以外の部門にも進出し,塩化ビニル,プラスチック,アンモニア,メチルアルコール,尿素など化学,肥料,塗料なども手がけるにいたったが,1987年基礎化学品と PVC樹脂部門を売却し,ボーデン・ケミカルズ・アンド・プラスチックスを設立した。1990年代に入ると業績が悪化し,1995年コールバーグ・クラビス・ロバーツに買収された。

ボーデン
Borden, Lizzie Andrew

[生]1860.7.19. マサチューセッツ,フォールリバー
[没]1927.6.1. ニューハンプシャー
アメリカ犯罪史上最も有名な女性の一人。未婚で,日曜学校の教師をしていた。 1892年8月4日死体で発見された父と継母を斧で殺した容疑で逮捕されたが,裁判の結果,無罪となった。今日でもこの事件は謎とされ,彼女の有罪を信じている者は多い。

ボーデン

ブーデン」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のボーデンの言及

【カナダ】より

…大戦が国内に及ぼした影響の第1は,再び高まったイギリス系・フランス系の軋轢であろう。徴兵制に反対するフランス系カナダ人の激しい抵抗に遭遇したR.L.ボーデン保守党内閣は,自由党との連合内閣を形成してこれを切り抜けたが,以後ケベック州における保守党の支持は著しく低下した。第2としては,女性の地位の向上があげられよう。…

※「ボーデン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android