アメリカのロードJohn Laudが板や厚紙に印をつけるものとして1888年に考案したものが原型とされるが,ハンガリー出身のビロLazlo Biroが改良を加え,1943年に筆記具として完成させた。44年アメリカのエバーシャープ社がビロの特許を買って商品化し,以後急速に普及した。構造は先端のボールが回転することにより,軸内からインキを紙に転写するというもので,粗面でもスムーズに書ける。日本には第2次世界大戦後もたらされた。簡便で複写伝票にも適するボールペンは,とくに55年ごろから叫ばれはじめた事務合理化運動とあいまって定着していった。加工精度やインキの品質が筆記性能に微妙に影響するため,当初はインキのかすれ,にじみ,ボテ落ちがさけられず,また,高湿で変化の多い気候の日本ではインキが安定しにくく,長期保存の公文書などには不適とされてきた。その後の改良で82年からは司法試験での使用も許可になった。通常は油性インキを用いたものをさすが,1966年に水性インキを採用した〈水性ボールペン〉が日本で開発され,ボールペン市場における比率を伸ばしつつある。
執筆者:永田 桂子
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