マークシートの短答式と論文式試験で構成され、合格者は司法修習で実務を学んだ後、法曹(裁判官、検察官、弁護士)の資格を得る。2006年に法科大学院の修了者を対象にした現行試験がスタート。合格者は07年以降、1800~2100人程度で推移している。試験の問題作成や採点をする考査委員は法相が毎年任命。法科大学院教授や検事ら実務家が就任する。司法試験委員会は法相の諮問を受け、試験の重要事項を審議する。
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裁判官,検察官または弁護士になろうとする者に必要な学識およびその応用能力を判定するための国家試験。司法試験合格者は,司法修習生となる資格を持ち,司法研修所での修習を経て裁判官・検察官または弁護士となる。毎年1回行われる。期日・場所は官報で公告される。司法試験は,第1次試験と第2次試験とに分かれる。第1次試験は一般教養科目について行われるが,大学における一般教養科目の学習を終わった者は免除される。第2次試験は,第1次試験合格者(一度合格すればその後は免除される)および免除者に限り受験できるが,さらに3段階に分かれる。第1段階は,憲法,民法,刑法の3科目について行われる短答試験であり,第2段階は,憲法,民法,商法,刑法および民事訴訟法または刑事訴訟法の5科目のほか,民事訴訟法または刑事訴訟法(必修として選択しなかったもの),行政法,破産法,労働法,国際公法,国際私法,刑事政策の中から1科目,および政治学,経済原論,財政学,会計学,心理学,経済政策,社会政策の中から1科目の合計7科目について行われる論文試験であり,第3段階は,論文試験で受験した7科目について行われる口述試験である。短答試験の合格者のみが論文試験を受験でき,論文試験の合格者のみが口述試験を受験できるが,論文試験の合格者は,その翌年に限り,短答試験・論文試験を免除されうる。例年,第2次試験の志願者は約3万人,これに対して最終合格者は約500人であり,最も難しい国家試験の一つである。現在の司法試験の前身は,1918年以来行われた高等試験司法科試験であったが,その時代には,判・検事と弁護士とは同一の試験を受けてもその後の養成制度が異なった。さらに,高等試験司法科試験実施前は,判・検事のための試験と弁護士のための試験とは別であった。
→法曹
執筆者:青山 善充
近年,合格者の若返りと人数増加を目的として改革作業が行われ,最高裁判所・法務省・日本弁護士連合会の3者の合意にもとづき,合格者数をこれまでの約500人から1991-93年に100人ずつ増やし,96年からは論文試験の合格者を決める際に7分の2を初回の受験から3年以内の受験者から選ぶ(合格枠制),という制度が導入された。さらに,97年10月,法曹3者は段階的に合格者を1000人に増加し,その受入れ体制を整備するため司法修習期間を現行の2年から1年半に短縮することで合意した。また2次の論文試験において民訴と刑訴をともに必修科目とすることとしている。ちなみに97年度の司法試験合格者は過去最高の746人(うち女性270人)だった。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
司法試験法(昭和24年法律第140号)に基づき、裁判官、検察官または弁護士(法曹三者)になろうとする者に必要な学識およびその応用能力を判定することを目的とする国家試験。1949年(昭和24)より実施されている。それ以前は高等試験司法科試験が1918年(大正7)以来行われていた。
司法試験は国家試験の最難関とされ、合格者数は1990年度(平成2)の499人から徐々に増え2005年度には1464人になったが、合格率は2~3%台で推移していた。2001年の司法制度改革審議会意見書は司法試験合格者を2010年に3000人程度にするなど法曹人口の大幅な増加を打ち出し、この流れのなか、2004年に法科大学院が創設された。2006年から法科大学院修了者を受験対象とする新司法試験が実施されている。
新司法試験も法曹三者になろうとする者に同一試験を課す特徴は維持しているが、これまでの司法試験と比べると、受験回数が5年間に3回に制限され、受験科目や試験の実施方法などに変化があった。従来の司法試験は旧司法試験との呼称になり、経過措置として2011年まで実施されたが、2011年は前年の第二次試験筆記試験合格者を対象とする口述試験のみとなった。一方、同年から司法試験予備試験が実施され、法科大学院を経由しない者は予備試験により新司法試験の受験資格を得ることができた。
新司法試験は択一式を含む短答式と論文式による筆記試験。短答式試験は公法系(憲法、行政法に関する分野の科目)、民事系(民法、商法、民事訴訟法に関する分野の科目)、刑事系(刑法、刑事訴訟法に関する分野の科目)の3科目。論文式試験は短答式の3科目に加え、選択科目として倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)から1科目の計4科目。旧司法試験にあった口述試験は廃止された。旧司法試験に比べ、より実務にかかわりの強い内容となっている。当初の理念では法科大学院修了者のおおかたが合格できる制度を想定していたが、予想を超える数の法科大学院が創設された結果、初年度の2006年の合格率は48.3%であった。合格率はその後も下がり続け、2010年は25.4%、合格者は2074人と当初の目標を下回った。同年文部科学省は入学試験の競争倍率と司法試験の合格率が低迷している法科大学院への補助金を削減する方針を示した。
[井田香奈子]
新司法試験は2013年に「司法試験」に名称変更された。また、2014年10月に施行された司法試験法の一部改正法により、受験期間内に受けることのできる回数の制限が廃止され、5年間で5回受験できるようになった。
[編集部]
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※「司法試験」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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