ボール盤(読み)ボールバン(英語表記)drilling machine

デジタル大辞泉 「ボール盤」の意味・読み・例文・類語

ボール‐ばん【ボール盤】

《〈オランダ〉boor-bankまたは〈ドイツ〉Bohrbankから》工作物テーブル上に載せ、ドリルで垂直に穴をあける工作機械穿孔せんこう機。

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精選版 日本国語大辞典 「ボール盤」の意味・読み・例文・類語

ボール‐ばん【ボール盤】

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] boor bank から ) 工作機械一つ。ドリルに回転と送りを与えて、テーブル上に載せた工作物に穴をあける機械。錐揉盤(きりもみばん)。〔自動車読本(1947)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ボール盤」の意味・わかりやすい解説

ボール盤 (ボールばん)
drilling machine

工具としておもにドリルを使用し,穴あけ加工を行う工作機械。穴あけ加工ほかリーマー通し,中ぐりタップによるねじ立て,穴の入口部の加工(座ぐり,さらもみ,沈み座ぐり)なども行える。現在のようなボール盤の原型が作られたのは1850年代といわれている。ボール盤の名称は,オランダ語のボーアバンクboor bankに由来するが,これは江戸末期,工作機械がオランダから輸入されたためである。

(1)直立ボール盤 基本的には,垂直に設けられた主軸と,それを駆動する電動機や変速機構などが組み込まれている主軸頭,主軸頭を支えているコラム,コラムや主軸と直角に取り付けられ上下方向に移動できるようになっているテーブル,コラムを支えているベースからなる(図)。ドリルやリーマーなどの工具は,主軸端にあけられているモールステーパー穴に直接取り付けるか,またはモールステーパー穴に取り付けたドリルチャックに付けて使用する。主軸の回転は正転と逆転の両方ができ,その回転軸方向に自動,または手動送りができる。工作物は一般にテーブルの上に固定して加工する。なお,直径13mm以下の穴をおもに手送りであける小型の直立ボール盤のことを卓上ボール盤,または手加減ボール盤という。

(2)ラジアルボール盤 工作物を動かさずに穴をあける位置が変えられるように,コラムから大きなアームが突き出ていて,そのアームがコラムを中心にして旋回でき,かつそのアーム上を主軸頭が半径方向に移動できるようになっている。おもな種類としてはベース形,万能形,壁掛形,移動形がある。ベース形ラジアルボール盤は,ベースの上にテーブルを取り付けて直立ボール盤で扱うような小物部品の加工もすることができるし,またアームの先端に補助コラムを付ければ立て中ぐり盤でするような加工も行うことができる。万能ラジアルボール盤は,垂直な方向の穴あけだけではなく,例えばボイラーのような大きな工作物の側面にも水平な方向の穴があけられるように,主軸が任意の方向へ向けられるようになっている。壁掛けラジアルボール盤は,コラムが工場の壁,または柱に取り付けられた構造をしており,移動ラジアルボール盤は機械全体が水平案内面上を移動できるようになっている。

(3)多軸ボール盤およびその他 多軸ボール盤は,生産性を向上させるために多数の軸で同時に多くの穴をあけることができるようにしたものである。このほか,直立ボール盤の主軸頭を多数並べ,テーブルだけを共通にして,穴あけ,座ぐり,ねじ立てなどの加工が順次行えるようにした多頭ボール盤,工作物を固定しておき,タレット(数種の工具を取り付けてある台で,旋回できるようになっているもの)により工具を順次かえていくタレットボール盤や,直径10μmオーダーの非常に小さな穴をあけることができる特殊なボール盤などもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボール盤」の意味・わかりやすい解説

ボール盤
ぼーるばん
boring machine

主としてドリルを用いて工作物に穴あけ加工を施す工作機械。語源は、オランダ語のboor-bankといわれている。工具には回転切削運動を与えると同時に送り運動を行わせる。ドリルによる穴あけのほかに、さらざぐり、ざぐり、タップ立て、リーマ仕上げ、深ざぐり、センター穴あけ、中ぐりなどの作業を行うことができる。ボール盤はもっとも広く用いられる工作機械で、種類も多く、直立ボール盤、ラジアルボール盤、卓上ボール盤、多軸ボール盤、多頭ボール盤、深穴ボール盤、ガーダーボール盤、ポータブルボール盤などがある。このうち多用されている機種は直立ボール盤、ラジアルボール盤、卓上ボール盤である。直立ボール盤は比較的小型の工作物を加工するのに適しており、主軸の位置が固定しているため、工作物を動かしてその位置決めを行う。ラジアルボール盤が用いられるのは工作物が大型で移動が困難な場合、または普通のボール盤主軸が穴あけ位置まで届かない場合などで、主軸頭が取り付けられたアームをコラムの周りに旋回させて位置決めし、穴加工を行う。卓上ボール盤は作業台上に据え付けて使用する小形のボール盤で、小形の工作物の穴あけを対象とした作業が行われる。

[清水伸二]


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百科事典マイペディア 「ボール盤」の意味・わかりやすい解説

ボール盤【ボールばん】

ドリルを用いて穴あけを行う工作機械。工作物をテーブルに固定し,ドリルを取り付けた主軸に回転と同時に軸方向の送りを与える。普通の直立ボール盤のほか,ラジアルボール盤,多軸ボール盤などがある。リーマー通し,中ぐり,ねじ立てなどもできる。
→関連項目工作機械数値制御工作機械切削工具タップ万能工作機械

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボール盤」の意味・わかりやすい解説

ボール盤
ボールばん
drilling machine

ドリルを用いて穴あけ加工をする工作機械。一般には主軸端に取付けたドリルを回転させながら,軸方向に送って穴あけするが,加工物体を回転させるものもある。工具を変えることによって,穴径をくり広げる中ぐり,穴精度を向上させるためのリーマ通し,タップによるねじ立て,その他の加工もできる。ボール盤には,主軸が鉛直な直立ボール盤,主軸の位置を移動できるラジアルボール盤,テーブル上に設置可能な卓上ボール盤,多数の穴を同時に加工できる多軸ボール盤,特に深い穴を加工するガンドリル,主軸部を任意に脱着できるユニット型ボール盤などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のボール盤の言及

【工作機械】より

… なお,日本に金属を加工する工作機械が入ってきたのは江戸末期の1855年ころのことで,長崎に海軍伝習所を設置したときオランダから輸入したものであった。ちなみに当時,旋盤は旋転機盤,ボール盤は錐機盤と呼んでいた。国産の実用的な工作機械が作られるようになったのは,明治中ごろからである。…

※「ボール盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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