改訂新版 世界大百科事典 「ポリュクラテス」の意味・わかりやすい解説
ポリュクラテス
Polykratēs
生没年:?-前522ころ
サモス島の僭主。前538年ころ2人の兄弟とともに貴族政を倒して政権を奪い,前532年ころまでに兄弟を排除して一人支配を樹立した。多数の傭兵と強力な艦隊を擁して,付近の島々や小アジア本土に支配を広げ,エジプト,キュレネ,ナクソスなどと友好関係を結んだ。国内では毛織物業を盛んにし,山をくり抜いた全長1km以上の水道などの大土木工事を興して平民に仕事を与え,アナクレオンなどの詩人を宮廷に招き,サモスに空前の繁栄をもたらした。前525年,ペルシアのエジプト遠征のとき,エジプトを棄ててペルシアと結び,これに艦隊を提供したが,その乗組員が反乱を起こし,スパルタとコリントスが彼らを助けて,サモスを攻囲した。この危機はかろうじて切り抜けたが,前522年ころサルディス駐在のペルシアの太守オロイテスOroitēsに欺かれ,マイアンドロス河畔のマグネシアにおびき出されて惨殺された。
執筆者:清永 昭次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報