キュレネ(英語表記)Kyrēnē

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュレネ」の意味・わかりやすい解説

キュレネ
Kyrēnē

北アフリカのリビア沿岸にあった古代ギリシアの植民市 (→アポイキア ) 。現シャハト。バットス (のちの王) を頭とするテラ人により,前 630年頃植民。歴史家ヘロドトスの記述や碑文史料から食糧不足を原因とする植民と推測される。アルカイック期のギリシア人の植民の事情をうかがわせる好個の一例。前 525年頃アケメネス朝ペルシアに従属,その後独立したが,アレクサンドロス3世 (大王) に征服され,前 323年頃からプトレマイオス朝の支配下に入った。医学の学校があり,地理学者エラトステネス,哲学者アリスチッポスを生むなど知的活動の中心地として栄えた。前 96年ローマの支配下に入り,繁栄を続けたが,2世紀初め頃ユダヤ人の大反乱が起こってから衰退しはじめ,642年のアラブの征服によって市は廃墟となった。ローマ時代の遺跡があり,1982年世界遺産の文化遺産に登録。

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