知恵蔵 「マイルドヤンキー」の解説
マイルドヤンキー
原田は著書『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)でマイルドヤンキーを、「消費の主役になりつつある新保守層」としている。傾向としては、地元志向が強く、郊外や地方都市に住み、低収入で、ITへの関心やスキルが低い、小・中学校時代からの友人関係を続ける、「できちゃった結婚」の割合が高い、子どもにキラキラネームをつける、喫煙率や飲酒率が高いなどを挙げている。
その志向から導かれる人生観については、女性は「都会に住んで貧乏になるより低賃金でも地方で務め、早く結婚して子どもを産み親や地域の絆に支えられて子育てする」というものであり、男性は「安定した雇用が期待できないのなら、非正規の仕事を掛け持ちしながら親元に住み、将来的には親の面倒も見る」などというものである。男女とも経済的なリスクを回避し、地域社会の中で子育てや介護ができる環境を求めていると分析する。
一般的に低収入とされるが、結婚して子どもを産み育てるなど、次世代をスムーズに生み出すことができる層なので子どもの成長に伴う消費が期待できる。また、親との同居や地方で住むことにより住居費の負担が小さいために車を購入するなど、ニート層などに比べて消費意欲が高いため、企業はその消費傾向に注目している。
原田はマイルドヤンキーが大きな消費層になる可能性を秘めており、日本経済を牽引していく存在になりつつあると指摘している。また、「彼らが存続するかどうかは、生活圏内にある程度の雇用が確保できるかどうかにかかっている」とし、地域再生に欠かせない存在として企業や自治体が雇用の確保など、何らかの支援をすることを求めている。
(若林朋子 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報