マスタードガス(読み)ますたーどがす

  • mustard gas

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (mustard gas) 糜爛(びらん)性毒ガス、硫化ジクロロエチルの慣用名。化学式 C4H8Cl2S 皮膚に付着すると数時間後に糜爛をきたす。呼吸器から吸入されると気管支、肺の粘膜を侵し窒息死に至る。第一次大戦でドイツ軍が初めて使用した。粗製品には芥子(からし)様の臭気があるところからの名。イペリット。

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化学辞典 第2版の解説

bis(2-chloroethyl)sulfide.C4H8Cl2S(159.08).(ClCH2CH2)2S.イペリットともいう.硫化ジ(2-クロロエチル)の慣用名.エチレンと塩化硫黄から得られる.蒸気圧の低い,無色,無臭の液体.不純なものは臭いがある.融点13~14 ℃,沸点215 ℃.1.2741.1.53125.水に微溶,有機溶媒に可溶.アルカリにより加水分解される.酸化剤によりスルホキシドまたはスルホンを与える.毒性が強く,皮膚,毛細管赤血球をおかす.高濃度の場合は皮膚から吸収され,内臓をもおかす.発がん性があり,DNAをアルキル化し,二本鎖に架橋を生じる.有機合成原料として用いられる.LD50 3.3 mg(ラット,静注).[CAS 505-60-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内のマスタードガスの言及

【イペリット】より

…第1次世界大戦中,ベルギーのイープルYpers付近でドイツ軍が初めて使用したことからこの名がある。また,セイヨウカラシ(マスタード)のにおいを有することからマスタードガスmustard gasともいう。融点14.45℃,沸点216.8℃の液体。…

【化学兵器】より

… 皮膚剤には,第1次大戦で使用されたイペリット(HD)などがある。イペリットはからし臭をもつためマスタードガスとも呼ばれ,粘膜や皮膚を糜爛(びらん)する物質であるが,上記の毒性表現法でいうと,1500mgの吸入で肺水腫を起こし死亡する。ホスゲン(塩化カルボニル)は第1次大戦で使用された窒息性の物質で,3200mgで呼吸器障害を起こし死亡するが,皮膚に触れても無害である。…

※「マスタードガス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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