マッハ計(読み)まっはけい(英語表記)Mach meter

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マッハ計」の意味・わかりやすい解説

マッハ計
まっはけい
Mach meter
Mach indicator

飛行機速度を示す航空計器の一つ。飛行高度における音速と飛行機の速度(真対気速度)の比をマッハ数といい、それを表示する計器をいう。マッハ1.0は音速を示す。マッハは衝撃波を発見したオーストリアの物理学者E・マッハにちなんで名づけられたが、イギリスやアメリカではマックとよばれている。飛行機が高高度(6000メートル以上)を高速度で飛行すると、気温の低下によって音速も低減するため、音速に関連する現象(衝撃波やそれに伴う現象)が発生しやすくなり、その影響を受けやすくなる。そのため飛行機の速度を通常の速度の単位で表すよりも、音の速度に基準を置いた速度単位で示すほうが、そうした現象の発生に関連づけられるので実際の飛行にあたっては便利といえる。

 マッハ計の特徴は、対気速度計がピトー系統によって得られた全圧動圧静圧との和)と静圧の差を利用して速度を求め表示しているのに対し、全圧と静圧の比を利用していることである。現代ジェット機ではマッハ数と全温(静温とラム上昇温度との和)をコンピュータに入力し、あらかじめ記憶させてある音速を代入して真対気速度および静止大気温度(外気温度に等しい)を算出・表示させている。

[落合一夫]

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百科事典マイペディア 「マッハ計」の意味・わかりやすい解説

マッハ計【マッハけい】

航空機の飛行速度を,音速との比(マッハ数)で直接指示する対気速度計一種ピトー管から得られる動圧を,高度および温度による補正を加えて指示する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マッハ計」の意味・わかりやすい解説

マッハ計
マッハけい
Machmeter

高速の飛行機の飛行マッハ数を指示する計器。原理的にも構造的にも速度計と同様な圧力計で,測定される圧力比マッハ数で示されるようになっている。

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世界大百科事典(旧版)内のマッハ計の言及

【航空計器】より

慣性航法航空保安無線施設
[種類]
 航空機の種類,用途,大きさなどによって装備される計器には多少の差異はあるが,飛行計器としては対気速度計,高度計,磁気コンパスやジャイロコンパス,人工水平儀,旋回傾斜計などが,航法計器としてはNDB,自動方向探知機,ADF,慣性航法装置などの表示器が,またエンジン計器としては回転計(ピストンエンジンではプロペラの回転数,ジェットエンジンでは圧縮機の回転数),シリンダー温度計(ジェットエンジンでは排気温度計),燃料流量計,燃料油量計,潤滑油油量計,潤滑油温度計,潤滑油圧力計などが基本的なものである。 対気速度計はピトー管を利用して航空機の空気に対する速度(対気速度)を表示するもので,測定された速度をそのまま表示する指示対気速度計と,大気の圧縮性や密度による誤差を補正して表示する真対気速度計があり,またマッハ数を表示するマッハ計を組み込んでいるものがふつうである。高度計には機上から地表に向けて発射した電波が戻ってくるまでの時間を測定して,これを高度に換算して表示する電波高度計,気圧を測定してこれを標準大気に従って高度に換算して表示する気圧高度計がある。…

※「マッハ計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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