マラガ(読み)まらが(英語表記)Málaga

デジタル大辞泉 「マラガ」の意味・読み・例文・類語

マラガ(Málaga)

スペイン南部、アンダルシア州の港湾都市地中海に注ぐグアダルメディナ川の河口部に位置する。フェニキア人が開いた港があり、ローマ時代、イスラム時代を経て、現代にいたるまで貿易港として名高い。保養地コスタ‐デル‐ソルの中心地。ブドウオレンジなどの栽培が盛んで、ワインを産する。ピカソの生地。マラガ大聖堂、マラガ闘牛場、マラガピカソ美術館がある。人口、行政区57万(2008)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラガ」の意味・わかりやすい解説

マラガ
まらが
Málaga

スペイン南部、アンダルシア地方の港湾都市。マラガ県の県都。人口52万4414(2001)。地中海に臨むマラガ湾に面し、グアダルメディナ川の河口東側に中心市街がある。古代から港を中心に商業で栄え、市街地の北東背後の丘上には、フェニキア人の建てた要塞(ようさい)をグラナダ王国のユースフ1世が再建したヒブラルファロ城がある。その西下方にあるイスラム教徒の城砦(じょうさい)アルカサバ(11世紀)の廃墟(はいきょ)まで城壁が続く。旧市街の中心地にはルネサンス様式の大聖堂(16世紀)がある。周辺の肥沃(ひよく)な農地ではオレンジ、レモン、ポーポーなどの熱帯果物、野菜、サトウキビなどとともに、特産品のブドウが生産され、干しぶどうやマラガ酒として輸出される。マラガ港のおもな輸出品はワイン、果物や野菜などの農産物、セメント、鉄鉱石、鉛など、輸入品は石炭、石油、肥料、木材などである。港の周辺には製鉄、鉛精錬、セメント、繊維、化学、製糖、魚缶詰などの工業が立地している。地中海性気候の温暖な地域で、コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)の東玄関口にあたり、観光・保養都市としても発展している。中南米音楽のマラゲーニャは、マラガ一帯に伝わるファンダンゴの音楽形式の一種で、新大陸にも伝わった。画家ピカソの生地。

田辺 裕・滝沢由美子]

歴史

紀元前8世紀ごろ、フェニキア人が植民市を建設したことに始まり、カルタゴギリシア交易に参加した。前205年の占領以後ローマの支配下にあったが、紀元後5世紀になってゲルマン系のバンダル人、ついで西ゴート人の支配を受け、6世紀から7世紀にかけてはビザンティン帝国に編入され、そののちふたたび西ゴート王国に復帰するなど、めまぐるしく所属が変わった。8世紀以後イスラムの支配下にあったが、1487年にフェルナンド2世、イサベル1世のカトリック両王がイスラムの手から奪回した。しかし、16世紀にイスラム教からの改宗が命じられ、その後も迫害を受けたため、モリスコ(改宗キリスト教徒)の反乱が頻発した。同じころ、イタリアへの羊毛輸出、アメリカ大陸との貿易で繁栄したが、アメリカ大陸貿易が自由化された18世紀後半以後衰退していく。また、19世紀前半におこった織物業、製鉄業も不振であった。1936年7月のスペイン内戦勃発(ぼっぱつ)に際して共和国側についたが、1937年2月フランコ側に占領された。

[中塚次郎]

『ロナルド・フレーザー著、高橋敦子訳『「スペイン」タホス村繁昌記――飢えと内乱から観光へ』(1975・平凡社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「マラガ」の意味・わかりやすい解説

マラガ
Málaga

スペイン南部,アンダルシア地方の同名県の県都。人口55万8287(2005)。港湾都市,商工業と文化の中心地。フェニキア人が植民し,古代から地中海商業圏の一拠点マラカとして知られた。ローマ時代に自治都市となるが,本格的都市建設はイスラムの時代で,11世紀に宮殿,城壁を中心に旧市街がつくられた。14世紀,グラナダのナスル朝ユースフ1世は,東の丘陵にヒブラルファロという要塞を築いた。キリスト教徒に奪回されたのは1487年である。近代のマラガは18世紀後半,植民地貿易に参加したときに始まる。織物工業と金属工業が発展したマラガは,19世紀を通じてアンダルシアの工業化の中心であった。しかし,アメリカ植民地の独立や19世紀末にマラガ全県を襲ったブドウネアブラムシの被害によって,経済的打撃を受けた。経済的復興は内乱後である。〈エル・マラガ〉と呼ばれる甘味の強いブドウ酒の産地で,またピカソの生地。マラガの西のトレモリノからマルベリャまではコスタ・デル・ソル(太陽海岸)と呼ばれる国際観光地域となっている。
マラゲーニャ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラガ」の意味・わかりやすい解説

マラガ
Málaga

スペイン南部,アンダルシア州,マラガ県の県都。地中海にのぞむ港湾都市,保養地,避寒地。フェニキア人が建設した町。ローマ人,西ゴート族の支配ののち,711年イスラム教徒の支配下に入り,1487年にキリスト教徒に奪回された。現在はマラガ・ワインや,干しぶどうの産地として知られ,製糖,建築材料,食品,ビール,肥料,綿織物などの工業が行われる。港からはワインのほか,アーモンド,オリーブ油,オレンジ,レモンなどを輸出し,石油,鉄鋼,化学製品などを輸入する。 1528年着工の大聖堂,ビクトリア,サントクリストデラサルド,サグラリオなどの聖堂,美術館,ムーア人の砦跡などがある。 P.R.ピカソの生地としても知られる。人口 51万 2136 (1991推計) 。

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百科事典マイペディア 「マラガ」の意味・わかりやすい解説

マラガ

スペイン南部,アンダルシア地方の同名県の県都で港市。ブドウ酒,干しブドウの生産で有名。綿工業も行われる。コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)は保養地,避寒地としても著名。前1200年ごろフェニキア人が創建。711年イスラム教徒の支配下に入り,1487年キリスト教徒が奪回。画家ピカソの生地としても知られる。56万1435人(2011)。

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栄養・生化学辞典 「マラガ」の解説

マラガ

 スペインのワインの一つ.

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世界大百科事典(旧版)内のマラガの言及

【ブドウ酒(葡萄酒)】より

…強化ワインfortified wineは一般にアルコール分が16~20%と高く,糖分も多いものが多い。著名なものには,ポルトガルのポート(ポートワイン),マデイラ,スペインのシェリー,マラガ,シチリア島のマルサラ,キプロスのコマンダリアなどがある。以上の天然甘味ワイン,強化ワイン以外のデザートワインとしては,赤ワインをベースにオレンジやレモンの果汁を加えたスペインのサングリアや,白ワインに香草類を浸漬(しんし)したベルモットなどがある。…

※「マラガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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