マンゴスチン(読み)まんごすちん(英語表記)mangosteen

翻訳|mangosteen

デジタル大辞泉 「マンゴスチン」の意味・読み・例文・類語

マンゴスチン(mangosteen)

フクギ科の常緑高木。葉は厚く、長楕円形。暗紅色の花を開く。実は熟すと赤紫色になる。外皮は堅く、中に種子を包んだ果肉が4~8個入っている。果肉は白色で甘く、口の中で溶けるような食味があり、果物の女王といわれる。マレー半島原産といわれ、熱帯アジアで栽培。

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精選版 日本国語大辞典 「マンゴスチン」の意味・読み・例文・類語

マンゴスチン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] mangosteen )[ 異表記 ] マンゴスチーン・マンゴステン オトギリソウ科の常緑小高木。マレー諸島原産といわれ、熱帯アジアの各地で果樹や観賞用に植栽される。高さ一〇メートル、径一メートルに達するものもある。葉は対生し長楕円形で長さ一五~二五センチメートル。径約五センチメートルの淡紅色四弁の両性花とそれよりやや小さい雄花が同株に咲く。果実は径四~七センチメートルの扁平な球形で赤紫色に熟し、厚い果皮の内部に芳香と甘味に富む白色の果肉がある。果肉は柔粘なアイスクリーム状、味は熱帯果実のうちでも第一級とされ、果物の女王といわれる。果皮はインド更紗の染料にされる。
    1. [初出の実例]「市場でマンゴスチーンを買って」(出典:旅日記から(1920‐21)〈寺田寅彦〉四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンゴスチン」の意味・わかりやすい解説

マンゴスチン
まんごすちん
mangosteen
[学] Garcinia mangostana L.

オトギリソウ科(APG分類:フクギ科)の常緑小高木。マレー諸島原産といわれる。高さ10メートル。葉は対生し、革質で長さ15~25センチメートル、幅6~10センチメートル、先はとがり、全縁。花は雑性花で、雄花は枝の先端に2~9個が群がってつき、両性花は若枝の先端につく。雌花は葉腋(ようえき)に1~2個ずつつき、淡肉色で径約5センチメートル、花弁、萼(がく)ともに4枚。雄しべは発育不全で、雌しべ柱頭は放射状に数個に区分される。果実は球形から圧球形で、横径4~7センチメートル、縦径3.5~6センチメートル、果皮は厚く、熟すにつれ紫黒色になり、果頂に梅鉢様の花痕(かこん)が残る。果肉は白色で、ミカンの瓤嚢(じょうのう)(袋)のように4~8個に分かれて放射状に配列する。中に扇形の種子があり、種皮から黄色の繊維が出て果肉内に入り込む。果肉と種子との分離は困難である。果肉はわずかな酸味と上品な甘味に富み、口内で溶け去るような食味をもち、熱帯産果物の女王といわれる。花期は3~4月であるが、5~6月の地方もあり、5か月で熟す。生食のほか、ゼリーに用いる。果皮部分にはマンゴスチンC24H26O6という黄色色素とタンニンを含み、染料となる。また果皮は収斂(しゅうれん)剤としても用いられる。材は暗褐色で堅く、家具や米を搗(つ)く棒などにする。繁殖は実生(みしょう)または接木(つぎき)による。熱帯特有の湿潤気候の地域でよく育つ。

[飯塚宗夫 2020年7月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「マンゴスチン」の意味・わかりやすい解説

マンゴスチン
mangosteen
Garcinia mangostana L.

熱帯果実の女王とされ,最高の風味を備えるオトギリソウ科の常緑果樹。20mにも達する高木で,葉は長楕円形で対生し,濃緑色。幹や葉を傷つけると黄白色の乳液を出す。果実の外観はカキに似ていて,径5~7cmほど。厚さ約0.5cmの果皮があり,ミカンの袋状に4~8個の白色の果肉が並ぶ。雌雄異株であるが,雄株はほとんどなく,単為結果性であるので,種子は母木と同じ遺伝形質をもつ。マレー半島付近が原産地とされ,熱帯地域の限定された範囲でのみ栽培されているが,結実には季節性があり,一定の時期にしか市場に出荷されない。品種,系統も未分化である。種子の発芽力も数日間と短く,果実から採取した種子は直ちにまかねばならない。成熟果の生食のほか,可食部分を砂糖煮した加工品がある。果皮部分はタンニンと黄色色素マンゴスチンmangostinを含んでいる。前者は皮なめし用に,黄色色素は更紗(さらさ)の染料として重用される。乾燥樹皮も黒色染料となる。

 フクギ属Garciniaは熱帯域に200種ほどが分布し,その過半数の果実は食用になるが,多くは酸味が強く,重要な果樹はマンゴスチンのみである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンゴスチン」の意味・わかりやすい解説

マンゴスチン
Garcinia mangostana; mangosteen

オトギリソウ科の常緑の小高木。マレー半島の原産とされるが,熱帯各地で果樹として栽培される。幹は6~10mぐらいあり,葉は長楕円形で厚い革質,全縁で先はとがる。花はマレー半島では3~4月に開き,果実は8~9月に熟する。雌雄雑居で雄株は見つかっていないが,若い木には雄花をつける。雌花は葉腋に1~2個ずつつく。花弁4枚は肉質で白または淡紅色,発育不完全な 15~30本のおしべがあり,柱頭は放射状に分れる。果実は球形で,果皮は厚く,熟すると暗紫色になる。内部に放射状に種子が並び,種子のまわりの白色の仮種皮はクリームのように軟らかく甘い。

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百科事典マイペディア 「マンゴスチン」の意味・わかりやすい解説

マンゴスチン

マレー半島原産といわれるオトギリソウ科の常緑高木。熱帯アジアの一部で栽培される。高さ10mに達し,葉は革質の長楕円形。果実は一見カキに似,径6〜7cm,表面は紫黒色で,果皮は厚くて内側は赤褐色を呈する。種子のまわりにミカンの房のように並んだ白色の果肉があり,これを食べる。甘味と酸味があり,熱帯果物の女王と呼ばれる。

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