マンゴー(英語表記)mango
Mangifera indica L.

精選版 日本国語大辞典 「マンゴー」の意味・読み・例文・類語

マンゴー

〘名〙 (mango) ウルシ科の常緑高木。熱帯アジア原産で果樹として各地で広く植栽されている。高さ一〇~三〇メートル。葉は披針形で長さ一五~三〇センチメートル。枝先に黄色い小さな五弁花が円錐状に集まって咲く。果実は扁長楕円形または扁卵形で長さ五~一五センチメートル、黄緑色や黄色に熟し特殊な香りがある。代表的熱帯果実で、果肉は白、黄、紅色などがあり、多汁でよく熟せば甘味も濃く、生食するほか、ジャム、ソースなどに用い、また未熟果はピクルスに用いる。菴摩羅(あんまら)菴羅
輿地誌略(1826)七「果に曼(マンゴ)と名く桃の如く」

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デジタル大辞泉 「マンゴー」の意味・読み・例文・類語

マンゴー(mango)

ウルシ科の常緑高木。葉は長披針形で革質。黄白色の小花を群生し、中に大きな種子が1個はいった楕円形の実を結ぶ。果肉は黄や橙黄色をし、多汁で甘く、食用。インド東南アジアの原産で、古くから果樹として栽培。
(Mango)米国マイクロソフト社が開発したスマートホン向けの実行環境、Windows Phone7.5のコードネーム

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改訂新版 世界大百科事典 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー
mango
Mangifera indica L.

ウルシ科の常緑の高木。果実は黄肉桃よりも濃厚な味で,松やにに似た芳香があり,熱帯果実の王女と称される。花は無数に咲くが,結実の少ないことから,宗教上の悟りの困難さを示唆する木ともいう。高さ30mにおよぶ巨木となり,開張性で樹冠の直径が20mを越えるこんもりした樹姿となる。葉は長楕円形で互生する。枝の先端につく複総状花序は数千個の小花よりなるが,全体の1~36%が完全花,その他が雄花となる雑性花である。盛花期には樹冠表面が花穂で覆われ,萌黄色となる。果実は系統により数十gから2kgと変化し,果形は一般的に勾玉(まがたま)状である。果皮の色は成熟すると黄から桃紅色と変異に富むが,果肉は黄色が多い。種子は扁平な紡錘形で1個ある。北インドからマレー半島にわたる地域が原産地と推定されている。現在は全世界の熱帯域で広く栽培されている。単胚性系統の多いインドでは多数の品種があり,多胚性系統の多いフィリピン,フロリダ,西インド諸島では品種数が少ない。多胚性は,珠心細胞が受精の刺激により分裂して母親と同じ遺伝形質の個体を形成する。1種子から2本以上芽生えるのでわかる。繊維の多い果実を生食する際は,ナイフで切り分けて食べるが,輸入されるほどの高級品種は繊維が少なく,扁平な種子を中心に3枚に切り離し,果皮を皿にみたてて縦横に刻み目を入れてスプーンで食べる。ジュース,ジャム,ゼリーなどにも加工できる。未熟果は,酢漬にしたり,塩をつけて生食したり,料理に用いる。また,熟しても酸味が強く,料理専用にされる品種もある。種子は粉にして主食に利用する。材はボートをはじめ各種の軽構造材に用いる。

 マンゴー属Mangiferaは東南アジアを中心に40種ほど知られ,ビンゼイM.caesia Jack.やニオイマンゴーM.odorata Griff.など,果樹として栽植される種がある。野生マンゴー属植物でも熟果が食べられるのもあるが,酸味が強く,ウルシかぶれをおこす例もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー
まんごー
mango
[学] Mangifera indica L.

ウルシ科(APG分類:ウルシ科)マンゴー属の常緑大高木。インド、マレー諸島およびインドシナ半島原産。葉は互生し、3~7センチメートルの葉柄がある。葉身は長披針(ちょうひしん)形で全縁、長さ10~30センチメートル、幅4~10センチメートル、革質で表面は濃緑色で光沢があり、裏面は黄緑色でわずかに光沢がある。同一株に雌花、雄花および両性花をつけ、枝端に長さ10~40センチメートルの円錐(えんすい)花序をつくる。マレーシア、台湾などでは、1~4月に開花する。果実は核果で5~10月に熟し、広卵形で長さ3~25センチメートル、幅1.5~15センチメートルと品種間変異が大きい。果面は黄白色、黄色、黄赤色などで、まれに赤紫色の斑点(はんてん)のあるものがある。果皮は強靭(きょうじん)でやや厚く、熟すと皮が容易にむける。果肉は黄色から橙黄(とうこう)色で多汁である。核は大きく平たくて、厚いものと薄いものがある。内に胚(はい)をもつが、インド系品種の種子は単胚、インドシナ系は多胚である。種皮は木質で表面に繊維があり、長いものは果肉内を走り品質不良となる。冬期15℃以上、生育期24~27℃で、開花期には乾燥する地方でよく生育する。繁殖は共台(ともだい)利用の接木(つぎき)、取木による。品種群として、ムルコバ、アルホンソ、サンダーシャ、カンボジアナ群などがある。

 果実は生食のほか、ジュース、缶詰、ゼリー、乾果などにする。幼果は料理に使われ、塩漬け、チャツネ(カレーの薬味)に向く。メキシコから中央アメリカでは幼果に唐辛子粉や塩をつけて食べる。また花や幼葉を料理する地方もある。

[飯塚宗夫 2020年9月17日]


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食の医学館 「マンゴー」の解説

マンゴー

《栄養と働き&調理のポイント》


 マンゴーはインドおよびインドシナ半島を原産地とし、紀元前から利用されていたといわれます。
 甘くてねっとりとした食感と、適度な酸味、そして濃厚な香りが特徴で、世界三大美果の1つにあげられます。
○栄養成分としての働き
 マンゴーはビタミンCを100gあたり20mg含み、1個で1日の所要量の半分近くがとれます。
 一方、熟すにつれて色が濃くなってきますが、これにともなってカロテンの量が増大します。含有量は100gあたりに610μgと多く、柿をしのぐほどです。
 カロテンは免疫機能の維持や抗酸化作用に働きます。この働きにより、かぜ、肺がんなどの予防が期待できます。
 また、黄色の色素にはフラボノイドの一種であるエリオシトリンが含まれており、脂質の過酸化を抑える働きをもっています。そのため、がんや老化の防止、糖尿病予防の効果も期待されます。
 体の直接的なエネルギー源となる糖質もブドウを上回り、ビタミンCの働きと合わせて疲労回復やかぜの予防に役立ちます。
 なお、マンゴーはウルシ科のため、かぶれやすい人は注意しましょう。とくに未熟な実ほどかぶれやすくなります。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー
Mangifera indica; mango

ウルシ科の常緑高木。南アジア,マレー半島の原産で,現在では重要な果樹として熱帯地方で盛んに栽培されている。幹の高さ 10~30m,暗褐色の樹皮をもつ。葉は互生し長さ 10~15cmの長楕円形で先がとがり,縁に鋸歯はない。長い総状花序に無数の小さな花がつく。独特の香りがある虫媒花で,両性花と雄花があり,緑色の萼片と黄白色の花弁が各5枚ある。両性花ではおしべは退化し1個のみが成熟して花粉を生じる。果実はゆがんだ楕円状球形で熟すると橙黄色になる。果肉は生食のほかに缶詰,干菓子,酒などに造られる。種子は薬用,材は堅牢で家具,樹皮から得るゴム質はアラビアゴムの代用にされることもある。熱帯の街路樹,庭園樹としても使われ,日本でも南西諸島や小笠原諸島でわずかにつくられている。

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百科事典マイペディア 「マンゴー」の意味・わかりやすい解説

マンゴー

熱帯アジア原産のウルシ科の常緑高木。古くから果樹として栽培。果実は卵形〜長楕円形で,種々の形があり熟すと黄色または赤褐色を呈する。種子は大型で平たく,表面に多数の溝がある。果肉は特有のかおりがあり多汁で,美味。

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栄養・生化学辞典 「マンゴー」の解説

マンゴー

 [Mangifera indica].ムクロジ目ウルシ科マンゴー属の常緑高木で,果実を食用にする.

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世界大百科事典(旧版)内のマンゴーの言及

【有毒植物】より

…コンニャク,キーウィフルーツでも同じ現象がみられるが,原因をシュウ酸カルシウムだけとする説には疑問がある。ウルシ,ハゼノキ,ヌルデ,マンゴーなどウルシ科植物による強いアレルギー性皮膚炎の原因は含有成分のウルシオールにある。イチョウの果肉(種皮)や葉に含まれるギンゴール酸も皮膚炎をおこす。…

※「マンゴー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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