ムン・ジェイン(読み)ムン・ジェイン(英語表記)Moon Jae-in

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムン・ジェイン」の意味・わかりやすい解説

ムン・ジェイン(文在寅)
ムン・ジェイン
Moon Jae-in

[生]1953.1.24. 慶尚南,巨済
大韓民国(韓国)の弁護士,人権活動家,政治家。大統領(在任 2017~22)。朝鮮戦争中に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から逃れた両親のもと,釜山の南西海上にあるコジェ(巨済)島の難民収容所で生まれた。1972年ソウルの慶煕大学に入学,パク・チョンヒ(朴正煕)大統領の独裁体制に反対する学生運動に加わる。1975年韓国軍に入隊。除隊後は大学に戻り,1980年法学士号を取得。1982年のちに韓国大統領となった盟友ノ・ムヒョン(盧武鉉)とともに釜山で法律事務所を開設。2003年2月ノ政権発足にあわせて民情首席秘書官に就任。その後,大統領秘書室長となって,2007年10月にノ大統領と北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)総書記との歴史的会見をまとめ上げた。2012年釜山の選挙区から議会議員選挙に立候補し当選。同年 12月には野党民主統合党の候補として大統領選挙に出馬し,パク・クネ(朴槿恵)僅差で敗れた。2015年2月民主統合党の後継政党,新政治民主連合の代表に選出。2017年3月のパク大統領の罷免失職をうけて行なわれた 5月9日の大統領選挙で,「共に民主党」(新政治民主連合の後継政党)の候補として地すべり的勝利を収め,翌 10日に就任した。
在任中は対北朝鮮宥和政策を掲げ,南北首脳会談を 3度実現したが,北朝鮮の核・ミサイル開発をくい止める効果はなかった。日本との関係は慰安婦や元徴用工問題をめぐって対立が深まり悪化の一途をたどった。一方,国内では労働者の最低賃金や法人税を引き上げるなど,弱者に配慮する政策を行なったが,首都ソウルなどでの不動産価格の高騰に対処できず国民の不満が高まった。新型コロナウイルス対策が国民の支持を得て,政権末期における支持率は 4割以上と異例の高さを誇ったが,任期満了に伴う 2022年3月の大統領選挙では自党の候補が僅差で敗れ,保守系野党「国民の力」に政権を明け渡した。

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現代外国人名録2016 「ムン・ジェイン」の解説

ムン・ジェイン
文 在寅
Moon Jae-in

職業・肩書
政治家,弁護士 韓国国会議員,新政治民主連合代表

国籍
韓国

生年月日
1953年1月24日

出生地
慶尚南道巨済

学歴
慶煕大学法学科〔1980年〕卒

経歴
1980年司法試験に合格、’82年弁護士を開業。法務法人釜山代表弁護士、釜山海洋大学法学科講師、釜山地方弁護士会人権委員長などを歴任。’88年「ハンギョレ新聞」に創刊委員として参加。2003年2月盧武鉉政権の大統領府秘書室民政主席秘書官、2004年市民社会主席、2007年秘書室長を歴任。2012年4月第19代国会議員。同年12月の大統領選に最大野党の民主統合党より立候補したが、セヌリ党朴槿恵に僅少で敗れる。2015年2月新政治民主連合代表に選出される。著書に「釜山事件と国家保安法第7条の違憲性」がある。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

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