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メスタ Mesta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

メスタ
Mesta

中世スペインの移動牧羊業者組合。 13~17世紀頃に繁栄を誇ったが,18世紀には解体。スペインでは羊の移牧は古くからあり,ムーア人支配,国土回復運動の発展とともにその規模を拡大した。本来は中世都市でスペイン人が移牧の迷羊の処置と羊毛価格決定のために結成した小規模の牧羊者ギルドであったが,13世紀にはアルフォンソ 10世 (賢王) の承認を得て (1273) ,カスティリア全体にわたるメスタに発展。 15世紀,スペインの国土回復運動が完成するとメスタはスペイン全土に及び,北部から南部へ移動した羊はそこで越冬し,春になると北上して北部で剪毛し,その羊毛は市場で取引され,国内およびイギリス,フランドル,ノルマンディーなどに輸出された。これらの牧羊業者は,北部の貴族,教会,騎士団,自由農民であり,その特権は,羊の移動路の保証,迷羊の処理権などであった。移動路沿道の共有地,耕作地についての一般定着の農民,牧畜業者との対立は古くから絶えず,スペインの南北にわたって羊群を移動させたため,耕地の荒廃を招いた。

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世界大百科事典 第2版の解説

メスタ【Mesta】

13世紀につくられ,19世紀前半まで存続したスペインの移動牧羊業者組合。夏と冬,牧草を求めて家畜を移動させる方式(移牧)は,地中海世界をはじめかなりの地域で行われたが,カスティリャ中央高原の南北数百kmにわたる移動牧羊はその一典型をなした。レコンキスタ(国土回復戦争)の南進に伴って盛んになった長距離移動牧羊業は,13世紀中葉には,カスティリャ国王の特許状を得て,全国組織としてのメスタの下に結集した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

メスタ
めすた
Mesta

スペインの中世および近世の特権的牧羊業者組合。スペインの移動牧羊(いどうぼくよう)transhumanceは古代から行われていたが、レコンキスタ(国土回復戦争)の進展に伴って大規模化し、1273年、アルフォンソ10世がカスティーリャ牧羊組合会議の設立を許可したことによって、カスティーリャ全体にわたるメスタが成立した。羊群(ほぼ1000頭単位)は三大移動路を通って秋に南下し、アンダルシア地域で越冬したのち翌年北上し、旧カスティーリャ地域で剪毛(せんもう)された。羊毛はメディーナ・デル・カンポで取引され、カンタブリア海(ビスケー湾)諸港からフランスやフランドルに輸出された。メスタは、貴族、教会、騎士団などの大羊群所有者によって組織され、王室から羊群の移動路の保障、共有地の利用について特権を得た。他方、王室には多大の財政的援助を行ってスペイン絶対主義の経済的基礎を構成し、「王国の支柱」ともいわれた。最盛期は16世紀前半から中葉のカルロス1世の時期で、羊は300万頭を数えた。しかし、羊群は農民の耕作地を通過して農業生産を圧迫したうえ、カルロス1世のスペイン、ドイツにまたがる「ヨーロッパ帝国」が崩壊し、また価格革命によって羊毛市場が縮小すると、王室はフェリペ2世以後メスタに対する賦課金をしだいに増加させ、メスタ制限策に転じた。その後18世紀中葉から農業生産拡大の方向が打ち出されると、その諸特権はさらに制限され、1836年にメスタは解散した。[深澤安博]

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世界大百科事典内のメスタの言及

【羊毛】より

…かつて後進的な羊毛輸出国だったイギリスは,17世紀には羊毛輸入国へと転換したのである。 イギリスへの最も重要な羊毛輸出国となったスペインでは,牧羊業は中世以来北部の山間部と南部の平野部との間の季節ごとの移動という形をとり,メスタと呼ばれる移動牧羊業者の組合を発達させた点に特徴がある。1273年に成立したメスタは,ヒツジの移動路や牧草地の確保,迷羊の処置などについて特権を有し,また国家財政の基盤として重要であった。…

※「メスタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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