価格革命(読み)かかくかくめい(英語表記)price revolution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

価格革命
かかくかくめい
price revolution

16世紀中頃から 17世紀初めにかけて,中南米からのの大量流入によってヨーロッパ貨幣価値が下落し,物価の著しい騰貴が起ったことをいう。 1519年に始るメキシコペルーの征服と略奪,ポトシなどの巨大銀山の開発,水銀精錬法の導入 (1556) などがその背景をなしている。価格革命は,(1) 農産物,家畜価格の騰貴を引起して農業の資本主義化を促し,(2) 実質賃金の低下によって工業,商業などで経営規模を拡大させ,(3) フッガー家などそれまでの商業資本が衰退し,代ってイギリス産業資本 (羊毛工業) の台頭がみられるにいたるなど,中世封建体制から近代資本主義体制への発展を促す一因となった。なお近年では,1973年の石油輸出国機構 OPECによる原油価格引上げなどを「価格革命」と称することもある。

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デジタル大辞泉の解説

かかく‐かくめい【価格革命】

16世紀半ば以降、ヨーロッパで起こった著しい物価の騰貴現象。アメリカ大陸のスペイン領から大量の銀が流入し、銀の貨幣価値が低下したことが原因。

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世界大百科事典 第2版の解説

かかくかくめい【価格革命 price revolution】

16世紀初葉から1世紀以上ヨーロッパ諸国で続いた長期的な物価騰貴をいう。15世紀末のアメリカ大陸発見後,アメリカ大陸貿易はスペイン王室の保護の下にセビリャ商人の手で独占的に進められた。その輸入品の大部分はアメリカ大陸産貴金属,とりわけ銀であり,とくに16世紀中葉のボリビアのポトシ,メキシコのサカテカスグアナフアトなどの豊富な銀山の開発,水銀アマルガム法による銀製錬技術の適用,低廉な原住民の賦役労働により銀生産は飛躍的に増大し,その輸入は16世紀後半にはいって激増し,スペインを経てヨーロッパの市場にあふれた。

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大辞林 第三版の解説

かかくかくめい【価格革命】

一六、一七世紀にかけて、スペインによる中南米の銀山の開発と銀製錬法の進歩から、大量の銀がヨーロッパに流入して銀価値を暴落させ、物価の騰貴が起こった現象。近代資本主義勃興の一因となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

価格革命
かかくかくめい
price revolution

16世紀初め以降、中南米の銀が大量に流入したため、ヨーロッパの物価が数倍に高騰したことをいう。15世紀末、大航海時代を先導した一国、スペインにより、メキシコや南アメリカの主要部分は、1530年代ごろまでにヨーロッパに知られるようになった。とくに1545年ペルーのポトシ、48年メキシコのサカテカなど豊富な銀山が発見され、71年水銀アマルガム法の導入で銀産出量が急増した。これらの莫大(ばくだい)な銀は、16世紀初めから約1世紀半にわたり、ヨーロッパ商品との交換で、主としてセビーリャ商人により独占的にまずスペインへ流入し、現地および本国で銀貨に鋳造された。その流入総額は正確にはわからないが、一説には4億4782万0932.3ペソともいわれ、16世紀最後の10年間にピークに達し、年平均約703万7000ペソに及んだといわれる。そのため本国では金に対する銀の比価が、ほぼ1対10から15に暴落、したがって銀貨の価値下落に伴う異常な物価騰貴が起こった。物価はまず銀の陸揚げされたセビーリャを中心としてアンダルシアで高騰を始め、16世紀初めの20年間に約34%から56%、さらに20年間に約52%騰貴した。ついで新カスティーリャ、旧カスティーリャ、レオンに波及し、やがてフランス、イングランド、イタリアに及んだ。マドリードではこの1世紀半の間に物価は約13倍に騰貴したともいう。[飯塚一郎]

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世界大百科事典内の価格革命の言及

【商業革命】より

…両国は1493年のローマ教皇勅書によって事実,全世界を二分するのである。 スペインに流入した銀は,中世以来フッガー家などの財政を支えてきた南ドイツ銀山を壊滅させながら,スペインの帝国政策の代償として全ヨーロッパに拡散,これが一因となってヨーロッパ全域に激しい物価騰貴を引き起こす(価格革命)。このインフレをうまく利用して企業活動を展開したイギリスのジェントリー層は経済力を高め,イギリスの国力伸張に寄与した。…

※「価格革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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