日本大百科全書(ニッポニカ) 「メバエ」の意味・わかりやすい解説
メバエ
めばえ / 眼蠅
thick-headed flies
wasp flies
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群メバエ科Conopidaeの総称。この科のハエは、小形ないし中形で、頭部が大きく、ハチに似た形状と色彩をもつ。触角は長いものと短いものがあり、口吻(こうふん)は細長く、膝(ひざ)状に折り曲げている。単眼は亜科によっては存在しない。胸部は大きいが、しかし頭幅のほうがやや広い。はねは長く、亜前縁脈は長くて第1径脈に接して終わり、第5径室は狭く開口するか、または閉口。基室は長い。脚(あし)は太くてじょうぶであり、つめは発達する。腹部の基部は狭くなり、腹部末端は下方へ湾曲し、雌雄とも生殖器は大形で特異な発達をする。花に集まる。幼虫は寄生性であって、その宿主は膜翅目、双翅目、直翅目の昆虫である。卵の一端には鉤(かぎ)状の突起があり、成虫は飛びながら宿主の体に産卵する。
代表種のマダラメバエMyopa baccataは、体長6~11ミリメートル、翅長4~8ミリメートル。体は主として赤褐色。口吻は長く、胸部の長さよりもやや長い。頭部は淡黄色で、前額にはY字形の赤褐色紋があり、頬(きょう)部は広く黄白色。触角は橙黄(とうこう)色で短く、一般的にもっとも長いのは第2節である。胸部背面はほぼ正方形で、太い黒色の3縦条がある。はねは褐色を帯び、輪郭の不明瞭(ふめいりょう)な透明紋がある。脚はじょうぶでとくに各腿節(たいせつ)は太い。本州、四国、九州、中国に分布する。
チャイロフタオレメバエSicus abdominalisは、体長10ミリメートル、翅長8ミリメートル。体は主として褐色。触角は短く、一般的に第2節が長い。第3節は楕円(だえん)形、触角刺毛は太くて短い。胸部背面には太い黒色の小字形紋が明瞭。はねは一様に褐色を帯びる。腹部第3節以下は濃褐色で、各節前縁部両側には灰白色粉からなる三角形の側紋が認められる。本州、四国、中国に分布する。
[伊藤修四郎]