開発途上国でエイズ、マラリア、結核の診断や治療が簡単にできるように薬の価格を下げて使いやすくすることを目的とする国際機関。2006年にフランス、チリ、ブラジル、ノルウェー、イギリスによって設立された。本部はジュネーブ。よく効く薬が開発されながら開発途上国ではこれが使えないために毎年400万人もが亡くなっている。ユニットエイドは製薬企業と交渉し、大量購入などと引き換えに割安価格で薬の供給を受けることで、治療を広げている。参加国は年々増え、2014年春までに29か国とビル&メリンダ・ゲイツ財団が加入している。日本は参加していない。
独特なのは、国の拠出金などは3割で、資金の7割を国際連帯税の一つである航空券連帯税でまかなっていることである。最初に導入したフランスは、国内発のチケットすべてにエコノミーは1ユーロ、ファーストクラスは40ユーロなどの税を加算している。旅行者一人ひとりにとってはわずかな出費であるが、トータルでは巨額になる。2014年3月の時点で韓国、チリなど9か国に増え、ユニットエイドは日本の参加・導入を強く求めている。
予算は年約5億ドルで、世界保険機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF(ユニセフ))などと連携する。対象はエイズ51か国、マラリア29か国、結核76か国。ナイジェリア、ウガンダ、ケニア、ザンビアなどアフリカ諸国が上位を占めている。これまでの活動の結果、エイズ、マラリア治療薬の価格は最大80%程度安くなり、小児のエイズ治療薬も登場した。
[田辺 功]
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