大学事典 「ユニバーシティ」の解説
ユニバーシティ
英語のuniversity,ドイツ語のUniversität(ウニヴェルジテート),フランス語のuniversité(ユニヴェルシテ),ラテン語でuniversitas(ウニヴェルシタス)。12世紀のボローニャとパリにその起源を持つ大学のこと。ボローニャ(イタリア)では,学生による生活上の協同・防衛,相互扶助のための出身地別の国民団(natio,ナチオ)を経て,その連合組織としての大学団が形成された。これがuniversitasである。大学団は代表や規約を持ち,教師を雇用する法人組織であった。一方,教師は,学生の教育の到達度を最終的に「学位」として認定するための団体であるコレギウム(collegium)をつくった。パリでは,12世紀以前からノートルダムの司教座聖堂学校で教養諸学が教えられていたが,それを基盤として12世紀に教授免許授与権を持ち,規約や代表を持つ教師の組合が生まれてきた。これがuniversitasとしてのパリ大学(フランス)の起源である。このように,本来,組合や団体を表すuniversitasが後世に受け継がれて,「大学」を表す「university」となったもので,「大学」には,元来,研究や教育を行う場所,森羅万象を考究する組織という意味は存在しない。
著者: 赤羽良一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報