コレギウム(読み)これぎうむ(英語表記)collegium ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コレギウム」の意味・わかりやすい解説

コレギウム
これぎうむ
collegium ラテン語

ローマ時代の結社、組合。もともとは神官団体を意味し、のちになっても大部分のものが多少とも宗教的な性格を帯びていた。共和政末期に政治的な闘争に参加したこともあり、帝政期には、その結成には皇帝か元老院の許可が必要となった。この許可は比較的容易に得られたが、会合の回数などに制限が加えられた。コレギウムには、貧民埋葬のための互助組合、青少年の体育訓練のための団体、退役兵のクラブなど多様な種類があり、国家や都市の公式の組織とは違った社会的な機能を果たしていた。手工業者など同職の人々のコレギウムの場合も、その目的は、共通の経済的利益の確保よりは、むしろ成員間の親睦(しんぼく)と社会生活上の互助のほうにあった。しかし、穀物商、海運業者などの組合に対しては、すでに2世紀から国家への奉仕の組織化のために統制が加えられ、3世紀にはそれが他の分野にまで広げられた。帝政末期には、組合員の自由は大幅に制限され、組合は奉仕を確保するための国家の道具となった。

坂口 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コレギウム」の意味・わかりやすい解説

コレギウム
collegium

古代ローマの団体。 (1) 私的な結社。 (2) 役人団 最古期から個人に権力が集中するのを防ぐために,各役職につき2人以上偶数の役人をおき,互いに牽制させた。職務を交代し,互いに拒否権をもった。 (3) 祭司の団体 国家祭儀,鳥占い,シビュラ予言,諸神礼拝を司る祭司が構成。より小規模の祭司団をソダリタス sodalitasという。 (→クラブ)

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